第13回公開授業
1年「Webページの作成で学ぶ情報の公開・保護と個人の責任」
研究授業  
意見交換会  

平成14年11月11日(月) 第5〜7限
府立柴島高等学校
1年情報科
授業者 坪内誠道先生



研究授業 「Webページの作成で学ぶ情報の公開・保護と個人の責任」 

 今回は、大阪府立柴島高校という、情報公開キャラバン初の公立高校での開催でした。この単元の目標は、「多くの情報があることを認識し、その情報の保護の必要性と、情報の収集・発信に伴う問題や個人の責任について理解させる」、というものです。今回も、内容の濃い授業が展開されました。この授業は、週1日設定されています。

授業中の風景。この授業は、「リンクの作成」という単元の4時間目の授業です。リンクの概念とその作り方の説明をしてから、生徒が実際にリンクを張る作業を行うという流れで授業が進められていました。

 この単元は、12時間設定されており、その中では、個人情報保護のビデオを見て(3時間目)、ネットワーク社会での身の守り方を学んだり、中間発表(8時間目)やWebページコンテスト(12時間目)などの発表の時間を設けデザインや内容を生徒自身が評価すると言う場面を設けたり、さまざまな仕掛けを作っていました。

 この単元前にも、情報の送受信のスキルや恐さを身につける意味で、電子メールやメーリングリスト(ML)を使った授業(1学期:15時間設定)を展開したりしています。まず、知らない生徒同士でMLを運営して、MLのメンバーに一文字ずつメールを送り、キーワードを完成させる実践や、ディスカッションをML上で展開する実践を行ったり、メールで送られるウィルスについてレポートを書かせたりなど、生徒全員に電子メールを使う上でのスキル向上を目指しました。

 

Webページの作成で学ぶ情報の公開・保護と個人の責任(授業中)

 今回は、「リンクの作成」という単元の4時間目の授業です。リンクの概念とその作り方の説明をしてから、生徒が実際にリンクを張る作業を行うという流れで授業が進められていました。この単元では、三点を留意して進めてまいりました。一つ目は、LAN教室内で実際のネットワーク社会を仮想的に体験させることで、ネットワーク社会での責任を実感として捉えさせるよう工夫する二つ目は、著作権や肖像権など人権侵害しないよう注意を払う、三つ目は、他人のページを見ることで論議する力を身につけることで、自分の意見を深める、の3つです。

 先生は、3枚以上のページを作るように指示をして、特にリンクを張るときに注意を払うように生徒に促しました。それは、出来のページを作っても、リンクを張るときに失敗して張ることが出来なかった場合、他のページを見ることが出来ず、評価が良くなくなるからである。そのため、生徒は真剣(!?)にリンクを張るこの実習に取り組んでいました。また、個人情報の考え方により、個人名をページに載せないように、ということも決められていました。

坪内先生。  作業風景。

生徒同士で教えあっている風景。  プリント。

 授業中は、リンクの概念を先に教えるのではなく、手順を教えて、体感させる指導方法を採用しました。それは、自分の伝えたいことをどうやって伝えるのか、ということにこの授業は重きを置いているため、伝えるための技術の一つとして、先にリンクの張り方を教えました。生徒のみんなも、リンクの張り方に悪戦苦闘(??)しながらも、がんばって仕上げていました。

 

top

意見交換会

司会:長尾 尚 先生(信愛女学院)
パネラー:坪内誠道 先生(柴島高校)

記録:伊美 聡(関西大学大学院)

 意見交換会では、今回の授業について活発な話し合いがされました。今回の授業に触発された先生方もたくさんいらっしゃったようです。

意見交流会の様子。今回のWeb作成の授業について

Q:著作権に絡むデータを生徒が使用したいとき、どのように授業中に指導しているのか?
著作権を持っているところから指摘を受けた場合、使っているページは削除するように指導している(坪内)

Q:評価はどのようになっていますか?
項目は「デザイン」「内容」「総合評価」の三項目で行っている。全体的に、いいなぁ、と思ったものを3つ選ぶ。両方見てもいいし、内容を重視してみても言いし、総合評価を重視してもいい、と言う話はしている。(坪内)

Q:評価はだれがやっていますか?
評価を行うのは、情報担当の教師3名と、コンテスト時の生徒の二者。教師は10点満点で決めているが、生徒の評価方法は未定。短時間(50分)で40人の生徒の総合評価をすることは難しい。だから、最初に見たものが得点が高い傾向になってしまう。(坪内)

話し合いの風景。 Webページ作成について

Q:トップページを最後に作らせるのはなぜですか?
そのような意図はなく、作りやすいページから作らせている。

必ずしもトップページを最後に作る生徒ばかりではなく、トップページを最初に作る生徒もいる。(坪内)

Q:なぜMicrosoft Wordを使用してWebページを作っているのですか?
タグを教えることについてはどうかのか?
情報と言うものは、他人に情報を伝えるということが大切だと思う。タグだとそれを教える授業になってしまう。
Microsoft Wordだと自由にレイアウトが可能である。生徒が「このようなものを作りたい」というものは、Microsoft Wordだと簡単である。トラブルが起きたときに、ソースを見てもわからないというデメリットはある。
(坪内)

Q:今年は週1時間ですか?
週1時間であるが、これ以上増やすことが出来ない。
2・3年生も授業で使うため、他の時間を使うことは難しい。
上の学年が、情報以外の授業でパソコン教室を使うことで、活気みたいなものが生まれる。
下の学年は、パソコン教室を使う期待感みたいなものが生まれる。(坪内)

そのほかのご意見

Q:2・3年生のパソコン教室の用途は?
課題研究を行っており、生徒自身のテーマに沿って使っている。


パソコンを使う授業中心の単位を取得する生徒は、進学をあきらめる生徒が多い。そのため、単位数が多い。ソフトを教えるばかりで、アイデアを出し合う授業が出来ない学校もある。

Q:今年は週1時間ですか?
週1時間であるが、これ以上増やすことが出来ない。
2・3年生も授業で使うため、他の時間を使うことは難しい。

 


top back