第7回公開授業&ワークショップ
  
選択教科情報「表のつくり方をマスターしよう/自分史の作成」

研究授業  
意見交換会  
ワークショップ  

平成14年5月1日(水) 第5・6限
大阪信愛女学院高等学校 http://www.osaka-shinai.ac.jp/senior/
3年選択教科
授業者 皮田佳美・高木美帆



研究授業 選択情報「表の作り方をマスターしよう/自分史の作成」

  信愛女学院では、3年生選択科目(4時間)中、2時間を使った「情報」という科目があります。ワープロ、表計算などの基本的なアプリケーションの操作から、ホームページ作成による情報の編集・発信といったところまでを対象にしています。

 授業は2つのコンピュータ室を使って同時並行ですすみます。皮田先生、高木先生それぞれが指導にあたります。なんと、片側の教室の生徒用PCはWindowsが、もう一方では、マッキントッシュが使用されています。基本的な操作は特定のOS、パソコンに偏らないでも指導できることを目の当たりにすることができました。共通するエッセンスだけを学習できれば、1つ1つの操作手順を覚えていくよりも後で応用が利くかもしれません。

 


 さて、本時の授業ですが、まだ1学期はじまって間もないこともあり、ワープロの基本的な操作「表」の作成・加工がテーマです。

 「キャンプツアーのお知らせ」という文書のスケジュール部分をサンプルに、お手本の通りに表を作成します。行・列の概念までは簡単ですが、難しいのがセルの結合。どことどこを連結すれば、お手本のようなスケジュール表になるのか、みなさん試行錯誤していました。

 

 次に、ここでマスターした表機能を使って「自分史」づくりに取り組みます。この課題は、3年生の進路指導ともからめて、自分のことを知り、振り返る機会になればという意味合いもあるそうです。また、自分のことだけでなく、当時の社会的な出来事、事件なども表にしていました。自分と社会のつながりをつけつつ、第三者にもわかりやすいものになりますね。色やフォントを工夫して、1人1人オリジナルの自分史ができそうです。

 

 

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意見交換会&ワークショップ

 

司会:長尾 尚 先生(信愛女学院)

パネラー:皮田先生(大阪信愛女学園)
高木先生(大阪信愛女学園)
  
記録:関西大学大学院 稲垣忠

授業者からひとこと

生徒といっしょに学んでいきたい

はじめての公開授業でとても緊張しました。選択理科(物理)を受け持っています。生徒を前に授業をすることも、去年にはじめてまだ2年目です。ソフトの操作知識については、私自身、あまり得意でないこともあり、なかなか大変でした。生徒といっしょに学んでいくことができればと思っています。

 授業については、サンプルの表の作成だけで、1時間かかってしまい、自分史に取り組む時間をもう少しとりたかったです。生徒は色・レイアウトなど、さまざまな工夫をしている様子がみられました。自分史にも、自分なりのこだわりがあったのではないかと思います。

表現の手段としてコンピュータを活用する場面を

高校生物を担当しています。今回の選択の情報の時間にかかわるのは8年目になります。昔に比べると、今は生徒のほとんどが経験者。技術に差のある生徒にどう対応するか悩みます。

 4月はじめの授業は基本操作、キーボード練習でしたが、本時は自分で何か作成・表現するところにチャレンジしてみました。自分史をつくる中でどう情報を選択して、工夫して発信するか。あと4時間の単元ですが、どこまでできるか楽しみです。このワープロをきっかけに、ホームページ作成、校内案内図など、いろいろな場面の表現手段に活かしていければと考えています。

参加者からの質問・コメント

Q:マックとウィンドウズを同時に使っているのに驚いた。それぞれの特色を活かした授業展開はあるのか。(仰星・高橋)
情報=コンピュータではないので。マックとウィンドウズの違いにこだわるよりも、共通のソフトを使って情報の発信、編集に時間を割きたい。美術系に興味のある生徒については、マックにする配慮も検討している。(高木)

Q:選択情報という週2時間の教科で、生徒にどの辺を目標として設定しているか。(大阪国際・奥田)
個人的には、きちんとキーボードが使えて、ワープロ、表計算に困らない程度の書類がつくれるところがスキル面でのねらい。最終的にはネットワーク(Web作成、画像の作成、メール交換)や、著作権、情報の影の部分についても扱っています。(高木)
家庭でインターネット活用をしている生徒がたくさんいるだけに、情報モラルについて特にきちんと指導していきたい。そこに操作スキルがともなってくればいいのではないか。(皮田)
世界史や社会についての出来事をインターネットで検索して貼り付けるなど、自分史をつくる活動だけでも、情報を編集するような作業を取り入れることはできそうですね。(稲垣)

ただ操作として表づくりを指導するだけでなく、見やすい表、きれいなデザインといった「味付け」までみわたしておかないといけないのでは(長尾)
4月にはじめて今の時点では、操作中心になってしまうのは仕方ないのではないか。少しずつのフォローが必要(高橋)
ワープロにこだわっていては時間がもったいない。機能を学ぶときは、「機能探しゲーム」みたいな感じで好きなようにやってもらっている。デザインについては「日付をちゃんと守ってもらえるようなチラシにするにはどうしたらいいか?」など、アピール点をしぼった工夫が必要だろう。操作と表現を、どちらも1つの課題の中に埋めこむのは難しいところもあるのではないか。 (大阪薫英・津田)

ワークショップ「教科書から1年の流れを考えてみよう」

     今回のキャラバンでは、意見交換会の中でワークショップをとりいれました。題材は、各社の情報科の教科書の目次です。それをグループごとに見比べながら、それぞれのグループで、1年間の情報科としての授業の流れを考えた時に、どこに気をつけるのかなど、自由に話し合う時間を設定しました。

     はじめての試みでしたが、みなさん、時間を忘れて真剣に話し合っている様子でした。各社の教科書の目次を目の前にすると、いよいよ、具体的にどうするか、イメージがふくらみます。

    • 「1学期のうちに情報を集める部分をしっかりトレーニングして、2学期、3学期にマルチメディア作品づくりをしてみたい」
    • 「シミュレーションやモデル化などにも踏み込んで、社会にどう役立っているのかを体験的に学習できないか」
    • 「1学期のうちに基本操作を。挨拶カードや、紙芝居、ワークショップをやって相談して、希望にあったものをつくるなど、グループでプロジェクト活動する練習にもできれば」

     

 最後に、グループごとに話し合ったことを発表しました。「実際にどう教えるか?」を考え始めると、環境も、生徒のスキルも異なる学校の先生の間で、1つの「案」にまでもっていくのは難しいところもあったようです。しかしその分、互いの情報交換、何を大事にして情報科に取り組んでいくのか、密度の濃い話し合いの場にすることができました。

  新教科「情報」のスタートまであと1年を切りました。「情報」関連の授業公開キャラバンでは、今回のようなワークショップなど、ただ公開授業をみるだけではなく、参加された先生方が考え、話し合い、来年度にむけて具体的なイメージが描けるようなイベントを、これからもどんどん開催していきます。お楽しみに!

 


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