第4回公開授業
  
英語選択「イントラネットを
活用した個別学習」

研究授業
意見交換会
平成13年11月22日(木) 第5限
プール学院高等学校 http://www.poole.ed.jp/
3年選択生徒
授業者  Robert Jolly



研究授業  英語選択「イントラネットを活用した個別学習」

 

  高校3年生対象の選択科目「英語NB」のまとめにあたる授業です。20人ほどの小規模な授業で,時事英語を中心に,事件や死刑の是非など答えのないことがら,物事に対する考え方のプロセスなど,教師手作りの教材で学習を進めてきたそうです。今回はそのまとめ、振りかえりをすることを目的に、パソコンを活用した個別学習の授業を設定されました。教材は、担当のRobert Jolly先生がすべて自作されています。授業内容を振りかえる教材,語彙を確認する教材,考え方のプロセスを確認する教材の3種類をイントラネット上に公開し、生徒は、必要・興味に応じて学習をすすめていました。


  

 普通教室での操作方法など簡単なガイダンスから授業ははじまりました。そのようすは,無線LANとカメラを接続したノートPC経由して、プロジェクタからその様子を生中継で見ることができました。学校内の教室すべてに無線LANを設置しているそうです。見学された先生方は,生徒の様子を見たり,コンテンツを体験したりと,とても熱心に参加しておられました。

 マルチメディア室に移動し、生徒たちはイントラネット上のWebページから、さまざまな教材を開いてきます。Jolly先生がつくった教材は、パワーポイントを使っての発音のクイズ、DOS上の単語のテスト、Web上でワークブックの内容に関するクイズなど、さまざまです。発音も、Jolly先生が吹き込んだそうです。ヘッドフォンをつけて1人1人、自分のペースで学習をすすめていました。

 なお、 この授業がはじまる前の昼休み、マルチメディア室(コンピュータ室)の開放をされていました。タブレットの接続されたPCで絵を描いたり、自分のホームページの日記を更新したり、メールを書いたり・・・自在にパソコンを操作する生徒たちの姿に、見学に来られた先生方も驚いておられました。

参加者の感想
 日常的にPCを使用されているのだなと感じました。教材の提示方法としては、面白いと思います。生徒もしっかりとくらいついてきていましたね。

 今回の授業は、3年生の仕上げのものであることから、個別に問題に取り組むものとなったように思います。テキストを拝見しましたが、大変濃い内容のもので、感心致しました。このような内容をどのようにコンピュータを用いて授業をなさってきたのか、興味のあるところです。

 本日は、授業を公開して頂き、有難うございました。 ウェブページの上の内容のみならず、テキストを含め、教育にかける熱意を 感じました。

 ロバート先生が「使えるテキストブックがないので自分で教材を作っている」 と言われた点、出版社としては、耳が痛い思いでした。

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意見交換会

司会:長尾 尚 先生(信愛女学院)

パネラー: 小池 先生(プール学院高校)
Robert Jolly (プール学院高校)

  
記録:関西大学大学院 稲垣忠

 意見交換会では、本校の情報関係を担当されている小池先生(教科は宗教)からの、学校の情報環境について説明をうけ、コーディネータの役割について議論しました。その後、授業者のRobert Jolly先生を交え、ITを活用した教材づくりについて、その支援とあわせて、熱心な議論がつづきました。

 

学校の情報環境について(小池先生)

導入の特徴
 99年3月にはじめてマルチメディア教室(22台のPC)を設置。 図書館の蔵書検索なども含めた環境構築を行う。
  2000年12月には、さらに20台のPCと、タブレットの使用できる美術用の端末を5台、音楽用のDTM端末を1台を追加。また、全教室に無線LAN(2Mbps)を設置。11Mbpsでは、1つのステーションで広範囲をカバーしにくいため、2Mbpsを使用。 学校内にアクセスポイントは8つだけ。これだけでも、工 夫すれば、全教室をカバーできる。
 2001年12月には、 第2マルチメディア教室、ノートPCを自由に使える第3マルチメディア教室の構築、ADSL回線の導入も予定している。

 校長室・職員室・教科の部屋はまだネットワークには接続していない。 「どうして職員室でもつかえないの?」と文句が出るのを待っている。生徒がノートPCを持ち出し、ネットミーティングで教師の様子をライブ中継するなど、日常の中で生徒が利用できる場面をつくっている。休み時間の開放もその1つ。

使い方でカバーする。現実的なムリをしない導入プランを工夫している点がいい。 何に使いたいのかをはっきりさせて、少しずつ導入をすすめていると感じた(長尾先生:信愛女学院)

休み時間の活用について
 昼休み・授業後の時間を生徒が自由に使用できるように開放している。教師が常駐することにしているが、メールを通したトラブルの危険性なども考えられるため、講習会を課し、受講した生徒にのみ、利用許可証を発行している。すでに100名ほどが受講したている。

Q:講習会の内容、受講状況について?森本先生
希望者が集まった段階で、放課後に時間をとっている。教材は、イントラネット上に公開している。 教科でインターネットを使うような場合には特に講習は課していない。 生徒の画面が教師機に転送されていることを説明しておく。 掲示板、占いサイト、絵をかく、自分のホームページを更新したり、 エクセルを使って授業の課題に取り組む子もでてきている。 利用者は100人を超えた(小池先生)

Q:他の学校でも、同様に休み時間にPC室を開放している学校はありますか?(長尾先生:信愛女学院)
昼・放課後に開放している。放課後は、生徒がなかなか帰ってくれないほど。総合の試行としての選択講座で、ネットワークを活用した共同作業を組み入れた単元を実践しているため、そのための時間として開放をはじめた。現在は10名程度。講座受講生にも広がりはじめている(小林先生:清教学園)
2年前にネット導入した段階から自由に開放している。図書館等でも活用。ただ、端末PCは半期に1度再インストールする必要がでてくる。 メールアカウントを発行するために、生徒・保護者に説明会を開催している。(大峠先生:茨木養護学校)


教科におけるIT活用について

英語、 中学理科(表計算)、 社会公民(Webで白書をみる)、 音楽、 美術、中学家庭科、 宗教で利用。 担当教師がやってみたいことを小池先生がサポートする体制づくりを進めている。

Q:ICTコーディネータの役割について。まわりの先生がどうみているか?仕事の範囲について合意形成ができているか? 教科情報の先生とコーディネータ、それぞれの役割分担はどうか?(長尾先生:信愛女学院)
総合のTT、機器の管理、教科のサポートをするために、担当時間数を「情報」として振り替えている(小池先生)
短期集中の情報講座以外に授業はもっていない。専任の情報コーディネータを担当している。 機器のメンテナンス、配線もすべてやっている。教務の情報化からはじめ、まず教員をユーザにしてしまうことを重視している。校内研究用にメーリングリストをつくってほしいといった要望も出るようになってきた。ただ、授業で活用するには、教員の側にまだ利用したいという意識が育っていない。(小林先生:清教学園)
使いたい教員からはじめ、「使ったら便利だった」という感想を持ってもらえるようなサポートをしている。無理強いはできない(小池先生)
生徒優先、先生優先、その中間など、学校によって情報化の進め方にはいくつかアプローチがありますね(長尾先生:信愛女学院)

本時の授業について

Q:教材作成にかけた時間、工夫などについて教えてほしい。(飯田先生:四條畷学園)
ワークブックはすべて自作した。選択科目のため、使ってみたい教材がなかったため。イントラネット上の教材についても、今回の授業にあわせて用意した。ワード、パワーポイントで作成し、HTML出力したものを使用している。発音はすべて自分でPCに吹き込んだ。他に、Hot Potatoes というフリーソフト(カナダのビクトリア大)を利用。クイズ形式の教材を容易に作成できる。本時以外にも、中学向けにもリスニングだけの神経衰弱などを作成した。
 教材は、個別に利用し、自己採点している。学習のまとめ、振り返りの場面で活用した。生徒ごとの学習履歴の管理システム等は構築していない。
  教材作成にはそれほど時間をかけているわけではない(20問程度のクイズに30分程度)。生徒は1つの教材を5〜10分程度で終えてしまう。操作に最初は手間取っていたが、細かな指導をしなくとも、数分でやり方を理解していた(Jolly先生)

Q:イントラネットだけでなく、学校のWebサイトに公開すれば自宅で学習できるのでは?(長尾先生:信愛女学院)
時期を限定して公開している(小池先生)
他校とも自主教材を共有していくこともできたらいいですね。(長尾先生:信愛女学院)

Q:本時以外には、どの程度こういった教材を利用した授業をされているのか?(飯田先生:四條畷学園)
中学、高校でも実施。 毎回では飽きられるだろうし、時期をみて月に1回、単元の終わりなどに活用している。 同じスタイルの授業だけではつまらない。いろいろな授業を試したいという動機から、PCの活用を組み込んでいる(Jolly先生)

Q:常勤(専任)ですか(飯田先生:四條畷学園)
12年(+講師4年)勤めている。 教材をつくりはじめたのはPC室ができてから。ワープロが使える程度で、プログラミングなどはできない。それでも、こういった教材をつくることはできます。PCを利用した教材をつくるかどうか?これはやる気の問題だ!やろうと思えば簡単にできること(Jolly先生)


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