大阪私学教育情報化研究会

ICTを活用した授業・校務を研究し学校への導入を推進しています

平成23年度春の研究発表大会レポート



日 時: 3月18日(日) 午後1時~5時


テーマ: 「教育のデジタル化時代を迎えて」 
~ 情報教育の10年と今後の展望 ~

会 場: 大阪府私学教育文化会館


基調講演: 「デジタル時代に求められる学校教育の役割とは」
講 師: 富山大学人間発達学部 黒田 卓 教授

SITEに行ってきました。 アメリカテキサス州オースティンで情報技術と教師教育に関する国際学会。今年の発表傾向は、学術論文は紙からpdf配布、今回はDLして見るようになった。どんどん発展して行ってるが、インターフェイスの問題がまだある。 今回の発表はほとんどWeb2.0関連の発表。 ・・・Facebook、Twitter、Wiki、blog、prezi、etc アメリカ、香港、シンガポール、台湾、トルコ、ベトナム、アイルランド、日本が発表。

授業や先生方の研修でWeb2.0が使われている現状。教材、カリキュラムの共有化。日本と比べると、女性の比率が多く、バリバリ活用している。

ICT能力はこれからの教師の必須能力だ。その反面、ネットモラル的な発表も増えている。日本はネットモラルが先に来て、進めない現状もある。ネットいじめも世界共通的な問題となっている。

日本はICT利用がなぜ普及しないのか?
・機器の整備が遅れているから ...いくつかの国の授業を見ているが、PC台数はそこまで違いはないが、古いパソコンが 使われている。新しいパソコンがいいのか、どうかは使い分けが大切。
・教師が忙しすぎる ...問題が大きい。個人情報などの問題から夜中まで学校に残る状況。他国では4時に帰る先生もいる。学校が様々な問題を抱えすぎているのが現状。先生の仕事は何なのか、考え直さないといけない。情報化は授業だけで無く、他の部分もある。しかし、校務の情報化は進んでいない。学区単位で校務の情報化を進めている。
・ブログやWebで授業のポイントや解説を記録する。 ...子どもや、親にわかるように。
・小中は府の職員が行っている。予算的な問題で実行されない場合が多い。
・効果が見えにくい。 ...学校教育だけでもいろいろなものを背負っている。教育制度、予算制度。複雑な問題を抱えている。
・日本の教育は遅れているのか。...日本からわざわざなぜ来るのか。日本とフィンランドは違いすぎる。日本は他国から見れば進んでいる。日本の授業研究などは注目されている。
・シンガポールと日本の違い。 ...教員の年齢層はシンガポールは若い35歳。先生のステータスは高い。10年学校で働 き、企業へ入社する人が多い。管理職になるための資格と教員年数があれば管理職になれ る。教員養成、教員研修は一つの大学で行っている。日本とは違うため、そのままもってこれない。
海外の教員を日本に招いたときに、掃除の時間があることに驚かれれていた。
日本も吸収だけではなく、発信もするべき。


ICT教育先進国の印象
・学力の底上げのため ...自動テスト作成ソフト。学力が上がっていることがわかる。プロジェクターを入れたりするよりも、底上げに力を入れている印象。
先生を楽にするのも目的。 学校単位では無く、学区単位でシステムを導入し、活用している。ポートフォリオ、学習履歴の蓄積。過去10年の小テストなどの状況、先生のコメントなど 生徒ごとにそれぞれ蓄積している。小学校から中学へ、中学から高校へ行く場合にも、そ のポートフォリオを見て確認する。データを確認していけば、生徒のつまずいた部分がわ かる。 ...これを日本にも導入するべきではあるが、私学の場合は学校単位になるので難しい。
アメリカと日本の一番の違いは、学校予算。
それぞれの学校によって違うが、学区の教育予算は行政区と学区は完全に独自している。その中で教育委員会が決められ、教育税の課税権もある。

メディアは何を伝えたのか。メディアの変化 ・阪神大震災 :インターネット ・新潟中越地震:携帯電話 ・東日本大震災:Webサービス 変化が起きてきている。
Facebookの普及は進んでいるか。 東京は20%を超えているが、富山はまだ2%程度。 アクティブに発信している人は少ない、使いこなしている人はまだ少ないのかもしれない。
・メディアが流す情報は正しいのか ...フリーランスの人が独自に流すという活動が増えた。
・ウソの発信者になっていないか ...Twitterでのリツイート、Facebookのいいね、でデマが拡散された。 (ヤシマ作戦、献血に協力。SNSで拡散スピードが上がった。)
・おもしろい、たのしい内輪の話が人の間を伝わるうちにおかしくなる場合がある。...内輪でのみでやっていると勘違いしやすいが、ネット上に書いていると言うことを忘れないように。
・EvernoteやDropboxといったクラウドサービスは安全か ...インターネットなので、裏で何しているかわからない。注意が必要。
・警視庁P2P観測システム ...ファイルのやりとりは平成22年から観測。どれくらいの数が流れているかを調べ、こ のデータを元に逮捕者も出ている。ネットで行っているモノはすべて記録されている。
・平成22年からP2Pでコンテンツをダウンロードした人も著作権違反になっている。
・最近のファイル共有方法 ...大容量のファイル保管サービスの共同利用。ID、パスワードを共有して利用。


Q.なぜ、良い教育をしないといけないのですか?何のために、良い教育をするのですか?
・日本では、子どもたちの夢を叶えるために。子どもたちの将来のためにと「子どもた ち」が主語になるが、CIOの方はほとんどの人が良い納税者を育てるためだ、と答える。 これが良い循環を生み出す。

Q. 2050年はどのような社会にだと思いますか?
・日本の人口構造は逆三角形に。高齢者を支える部分が、胴上げ型→騎馬戦型→肩車型になっていっている。若い世代が生活保護を受けて、生活する社会を作らないように。低学 歴層の底上げが重要になってくる。
・M世代(ミレニアム世代)  1982年から2003年生まれ(9歳から30歳)  デジタル・ネイティブ
・M世代のコミュニケーション能力。
 IT機器の操作能力は長けている  ・「しくみ」は理解していない:モノは完成品。作ることに興味はない。
・内容は理解してない
・「空気」を読む、気になる
情報化新学習指導要領における変化 社会と情報、情報の科学にしても「問題解決」が重要なキーワード。



<実践報告>

1)健康管理と情報の活用 大阪学院大学高校 松本宗久先生

「レコーディングダイエットにみる情報管理」

消費カロリーと体重の関連性に着目した情報管理 問題管理の手法として生徒にもわかりやすく説明できる。 レコーディングダイエットして、年々体重が落ちた。
ステップ毎に落とす (とりあえず体重計に乗る)
・記録を始める
・カロリーをつけていく
・計算して1日何カロリー食べるか考える
・慣れていた頃に満腹を感じる
・レコーディングをやめても続けられる
・そのままの体型で維持できる
レコーディングしたデータ :体重、体脂肪、基礎代謝量 ・食べた時間、食べたもの ・摂取カロリー(飴も取りこぼさない。)
Googleドキュメントにすべて記録していく。
2009年からスタート。これを行って、腰痛が無くなった。

記録
・1週間の平均を記録 ・何時に何を食べたか、いくらかかったか、何キロカロリーか
よくある質問
・ホントに痩せた?→痩せた
・楽しい? →理系には楽しい。このカロリーでこの量 ・とりあえず記録を取る
・揚げ物と菓子パンはさける
・残す ・急激な痩せ方は不健康なのでやめなさいと言う注意喚起も必要
情報科での応用
・問題の明確化(体重などの確認)
・情報の収集(記録の開始)
・情報の整理・分析(時系列データの分析)
2012/3/13
大阪私学教育情報化研究会 平成23年度 春の研究発表大会のご案内 「情報科」担当(301教室)
・解決案の検討・評価(1日の摂取量の検討) ・解決案の実施と反省(ダイエット実施)

1)簡単らくらくICT英語授業 大阪信愛女学院高校 石部睦雄先生

ほんの少しだけ歴史...
28年前必要だったのは、「チョークと黒板」「カセットレコーダー」「しゃべりの技術」
17年前 ゆとり路線へ方針転換... 予習をしない... 宿題をしない...     →どうしたものか...
・中1へ移動し,音声中心と協同学習へ!
      →熱い語りが減る,和訳が減る.
      →生徒が言葉を発する時間が増える.
2年前,教材提示装置とプロジェクタが登場.
・黒板に字を書くことが減る. →授業評価の板書項目が悪かったのが改善 →クラス全体を見渡せるようになり,G-TECの成績が  一気にあがった.
同じレベルの集団で 40ポイント以上上がった. ・ベネッセの実力模試でも4月から1月までの間に,  偏差値40が10人近くいたがそれが0になった!
音声中心で恊働学習 ・授業デザイン,構成が大変. ・50分間 休憩なしは大変. ・
けども,一回つくると簡単である.


2)情報科の10年を振り返って 箕面学園高校 伊美 聡先生

問題解決能力育成のため、プロジェクト型学習を導入 関大の教職科目を受講している大学生がチームティーチングで参加。 学生が授業進めたり、討論に参加したり。 情報A...プロジェクト型学習を展開した。振り返りシートを使用し生徒の内省活動に力を入れた 教職科目受講学生とTT、授業計画作成から授業に参加するところまで行った。 KJ法、ビデオを撮り反省
*反省点 ・選択授業のTTの参加者が2年目0人。交通時間がかかった。 ・校務の激務。時間割作成、成績処理など ・担任業務。授業に専念する時間が減った。
個人を主体としたプロジェクト型学習を行った。 実社会に即したテーマ。もっと生徒が興味を持つテーマ。 発表をゴールに捉えたプロジェクト型学習を複数行った。 完成品や資料を他の学生が見られるページを制作し、他の学生が見られるように。 後輩に見せて、目標とできるようにした。
*うまくいった点
・他教科の内容、実社会に即した授業内容。  選択授業受業生が参加したプレゼン大会で全国大会出場できた。 ・完成品を見せることで、生徒のモチベーションをあげる
・1年のみ教員2人によるTT
・基礎基本の徹底 ・多彩な選択授業 マルチメディア・パソコン検定、シミュレーション、問題解決技法
マルチメディアからKJ法などを学んだ・。
*上手くいった点 ・TTの実施 ・生徒の理解度の早さ
提言 ・人材の活用40人の生徒の発表を教員1人で見ることは大変な作業である。 ・学校近くの大学、専門学校を巻き込む。
・発表は学校全体、地域を巻き込んで行う。
・学校は活動をもっと外にアピールする必要があるのではないか。

2)iPadを活用した科学的思考力の育成 関西大学 中高等部 松村先生

3年前に高槻ミューズキャンパス設計に携わった
・思考力鍛える「考える科」
・世界とつながる英語教育
・ICTを使った教育環境
   を三大柱として,授業設計をした.
中学校で 平成24年から高等部で行う,科学基礎を取り入れた. →iPadを活用することによって,思考過程を表現することができる.

・授業の一例:
粘土を渡して,分子モデルを作り,その動きなどを考える. →iPadで思考過程を撮影しながら分子モデルなどを作成. →生徒が,撮影した写真を元に喋る内容などを考える. →電子黒板で プレゼンテーションを行う.

・教師が授業をするのではなく,生徒に全て考えさせる授業を実行する事ができる. ・つまずきがあれば,思考過程を記録しているので,過去にさかのぼって,  確認,改善することができる.
・まだまだ改善点があり,ICT活用のさらなるスキルアップが必要であると  感じた.


3)情報社会における問題解決 聖母被昇天中高校 岡本弘之先生 

学校の食堂について現状分析をしてその解決案を企画し、食堂に対してプレゼンを行った。
授業内容
1.課題を発見する
・KJ法を使って、良いところ、悪いところを考える。
付箋の色分けで+、ーを分け、カテゴリ毎 にグループ分けをした。
強さと課題の分析を行った。
2.解決案を考える
・1つのアイデアで終わらないように、付箋を使用してアイデアだしをした。 付箋を使用すると、数が出る事が話しだけで
3.提案についての情報収集

・提案
ミニメニューを作って欲しい。
・説得力
お弁当の人がもう少し欲しいと思ったら購入できるように。 アンケートを取り、どれだけの人が欲しいと思っているのか。
・具体的に書くこと
どんなミニメニューが欲しいですか。
料金の問題
ネットを使用して、他の食堂の値段を見る。
4.発表
1グループ5分。
生徒同士で評価し合う。
ミニサラダを食堂の使用者が少ないと言うことから、歌を作って親近感を持たせた。
1方法を教える ・問題の発見→KJ法、ブレーンストリーミングなどの方法を教えることで出る意見の数が増え た。
・解決案の検討
・提案の情報収集
・プレゼンテーション
方法を知ることで、他教科や部活などで使用できることを知る。
学校の改善案を出すと言うテーマは大きすぎる。食堂の改善案だと、モチベーションが上がる。
問題解決的な視点が育つ。見る目、意識が変わった。
食堂の人に対しプレゼンを行い、それが目に見えることで喜びになる。

3)情報化社会と教師の役割 羽衣学園高校 米田謙三先生

ICTの良さ →効果的に使える.ポイントポイントで,活用できる. →海外の先生と共同で研究・開発できる.
      →実際に,アメリカの先生と行っている.
大使館・領事館は,何も持ち込めない.
高校生熟議を行っている. FaceTimeなどで、遠隔地から授業を行える. 学校からは怒られない? ->返せれることは返しているので... メディアなどをうまく使おう!






4)電子黒板を活用した授業実践 清教学園中学 竹中章勝先生

「電子黒板がもらたらす学び」

電子黒板を使用して3年目。 昔はスライド、黒板で行った。 なぜ電子黒板か イギリスまで行って見てきました。
急に教育の電子化が始まったらどうするのか
黒板から、ホワイトボードと電子黒板に変更。 *活用の度合い
・ホワイトボードだけ ・ホワイトボード+掛図  使える色が増えた。 ・ホワイトボード+書画カメラで資料を出す。
・電子黒板とホワイトボード ・電子黒板を黒板として ボタン一つで消せるので楽。 ・電子黒板機能のみ

図を描ける 学生がプレゼンをしている場合、アンダーラインを引いたり、書き込みながらプレゼンをしている。今まではパソコンの前で話しているだけだったが、指を指して話をしている。 既にあるプロジェクターとつなぎ、電子黒板の映像を流したり連携できる。
・パワポを使用しない。書くと、生徒も書く。
・ノートテイキング:振り返りシートで、わかったこと、感想、質問をかけ。
・ノート:知識の構成、見える化。
板書とは何?
わかったこと、質問などは10分でまとめなさい。 それに慣れると、白紙の紙を渡しても、枠が無いのでわかりやすいと言う生徒増える。 メタ化することができる。
電子黒板を使用すると、サイズの変更ができ、残せる。
自分の説明したい手順を順次に見せることができる。 パワポだと、次のページに行くので、そこで考えが途切れる可能性がある。

ポスター:パワポでレイヤーの概念、色彩、彩度、明度の話をすると、やり直していく。
生徒が自らメタ的な考えで、どんどん良いモノに改善していく。
電子黒板を使用するのでは無く、電子黒板を使用して、広げていく。
映像を見せて、メモを取れる様になるには、トレーニングをする必要がある。
そのための電子黒板である。

4)フューチャーな学び、フューチャーな学校 東北学院大学 稲垣忠先生

・専門は情報教育・教育工学
・羽衣・沖縄・台湾をつないで交流学習を行うなど.
・教育テレビ・ICT活用で授業力アップ
→NHK for School 右上の利用ガイドから入手することができる.
・教育の情報化ビジョン
→2011年4月の 文科省報告書で,2020年をターゲットにした  学習環境
→デジタル教科書への移行や 電子黒板などの導入
      →一斉学習・協働学習・個別学習
・学習者用のデジタル端末
→個別・恊働学習での活用. ・デジタルテレビ・電子黒板
→一斉授業での活用
・フューチャースクール事業 →全国10の小学校が対象
→1人1台のタブレットPC配布 →前教室に電子黒板 →教育クラウド →デジタル教科書は教師用のみ
→例えば,算数.ワークシートをPCへ配布し,巡回提示をしながら  授業補正ができるようになる.
約170事例あり,1人1台の端末をどう使う? →クラス共有・グループ共有などに使われている.
→多くの学校では,一斉授業の補完として使われている. →多くでは,カメラ撮影を行い,電子黒板による提示なども,  行われている.
・協働学習での利用モデル「つくつた」 ・全国五校で実施.
→プレゼンやリーフレットのメディアを作る事業 →観点がでてき,評価基準が出てくる. →サンプルがでてくる.いい例,ダメな例の両方を用意
→どこが悪いかディスカッションできるように. ・iPadとつくつた教材で制作し,振り返りが簡単にできる.
どんなフューチャーがやってくる? ・教科書の解体.
→CK-12とは? →オープンソースの教材作成サイト
・講義時間の解体 →KHANACADEMY
→何十万人単位でyoutubeの授業を見る人がいる. →先生が説明する時間を一気に下げて,家で映像見てきて!  という用にもっていく.
         →学校ではなにをするか?
            →学力の底上げや,苦手ポイントの説明,
             恊働プロジェクトなど.
・ワールドワイドな個別指導 →Tutour Vista.com
→ワールドワイドかつきちんとした人の集まるYahoo知恵袋  のようなもの. →これがあるからといって,学校が不要なわけではない.
         →個別の能力に合わせたカスタマイズができたり,
          恊働プロジェクトなどがあるため.



研究会プロジェクト発表

・授業公開キャラバン
      →いろんな学校の授業をみて意見交換をしよう
・ICTプロジェクト →去年から高校生熟議に変更
→総務省・文科省が後援 →最終的には総務省・文科省で 高校生が結果報告
・Bits puzzle
→4・17 火 に体験授業ができる.

羽衣学園高校 米田先生



楽市楽座
・授業実践 →ここ最近は,GIS.→等高線データをプロットして,レイヤーとしてグーグルアースにのせて表示させることができる.
→オープンストリートマップ→3.11では,Twitterで流れた情報を元に,地図共有をした.  トイレはここだよ!など.

清教学園中学: 竹中先生


Copyright © 2011 Osaka Sigaku Net All Rights Reserved.