岡田さん(大阪ウチダシステム):
著作権のうち何権を侵害しているのかを明確にして説明されていたので、よくわかり、私も勉強になりました。
笹谷先生:
教育現場は、問題集などをコピーしていることが多いです。でも、伊美先生が生徒に最後に質問した「新聞の記事をコピーして、授業で配布した場合は著作権侵害になるか?」という質問で、生徒のほとんどが「これは侵害していない」に手を挙げたのは、生徒というのは教員を信頼しているからかなと感じました。
でも、無料着メロのダウンロードの説明で、「あやしいサイトからはだめですが、無料のちゃんとしたページからならいいですよ。」というのは、ちょっと問題かなと思います。
松本先生:
音楽や映像など、ダウンロードしても著作権法侵害にはならないですが、それらの映像や音楽をアップした方は罪になるのですね。こういう内容などは、社会科の先生がしっかり教える方がいいのではないでしょうか?
長尾先生:
どうして、生徒に著作権について教えなければならないのでしょうか?
松本先生:
伊美先生の授業で、「本当はあかんねんけど・・・・」と何度も発言しているのは気になりますね。私は、生徒に著作権を指導する場合、「君たちが好きなアーティストが活動できないことになるのは、耐えられないでしょう。」という話から入っていきます。著作権というのは、生産者の立場に立つということが大切で、生徒は消費者の立場でしかないので、なかなか理解できないと思うのです。
長尾先生:
今回の授業では、肖像権の話は出ませんでしたが、生徒に写真を勝手に撮られて、Web上に出回って、コラージュされているのを見た場合を考えさせてはどうでしょうか?生徒に生産者の立場に立たせる一例として。
笹谷先生:
生徒のメールアドレスをCCに入れて、勝手にあちこちに出回った場合や、○○さんのメルアド知ってる?と聞かれて、本人の了解を得ずに勝手に教えられたという立場を体験というか感じられたら、生徒も理解しやすいのではないでしょうか?
古川先生:
著作権ではギブアンドテイクの関係が成り立ちにくいですね。オープンソース系のプログラムのようにギブアンドテイクの関係があれば、著作権侵害も激減するのではないでしょうか。
長尾先生:
以前、著作権を保護することによって、いい文化が残るのだという話を聞いたとき、なるほどなと思った経験があるのですが・・・
笹谷先生:
いい文化を残すために寄与するという意識を植え付けられればいいのですが。
伊美先生:
以前の長尾先生のキャラバンでやっておられた、イラストをみんなで共有するという体験をさせ、著作権を考えさせるというのもいいかもしれませんね。
松本先生:
生産者の立場で生徒に考えさせるには、Webデザインの素材集を作らせるというのもいいかも。また、将来のために、結婚式の招待状作成で、イラストを作らせ、ちょっといい素材を貸し借りするということなんかもどうでしょうか?
笹谷先生:
自由に使っていいよ、といっても、にんじんをミサイルとして使ったり、勝手に色を変えたりするといやな気持ちになりますね。著作権教育は、人権教育と同じレベルに並べられる意識で教育をしたいと考えています。以前にグループで、いやな思いをさせてロールプレイングをさせ、いじめを体験させるような実践をしたことがあります。いやな思いを体験することも大切だと思います。
長尾先生:
プラス思考で著作権を守ることによって、よかったという思いを生徒に感じさせることで理解させる実践はないのでしょうか?
伊美先生:
芥川高等学校で教えていたとき、アーチストに実際メールを送って、使用の許諾を得たことがあります。これは、いい教材になりました。
長尾先生:
いいものを作って、みんなに行き渡ると非常に便利だしいいことです。ワードやエクセルがほぼ全域にわたっている現状で、それらが崩れたら・・・と考えて
著作権を守ることの大切さを感じさせてはどうでしょうか。今日の授業で、生徒のいろいろなコメントがあって、そのコメントはとても素直で、今の生徒のほとんどが感じるようなコメントがたくさんありました。それをしっかり受け止めた先生のコメントが必要であったのではないでしょうか。全部正解が答えられなかってもいいと思います。君たちはどう思いますか?となってもいいのではないでしょうか。
伊美先生:
去年は、学校現場での話がいろいろ出てきていたが、今回は、テーマを絞ってやりました。1年間を通じて、著作権や情報モラルの授業をやっています。
長尾先生:
著作権の問題は、知識ではないと思います。私なら、生徒に「今までに友人にCDを借りて、コピーしてほかの人にやった経験はない?」と質問を投げかけ、その生徒の答えに対して、さらに、突っ込んで質問していく。大事にしているものだから、また、大事な人だから、お金を払ってやった方が喜ばれるのでは・・・・と持っていければいいのではないでしょうか。
藤本先生(大阪国際滝井):
個人の価値観に踏み込んでの授業が必要ではないのでしょうか?ただでコピーできる技術が身についてきています。著作権の学習は、個人の価値観に訴え、自問自答させ、自分の行動を考えさせるのがいいのではないでしょうか。生徒に気づかせれば、行動も変わってくるのではないかと思います。
笹谷先生:
文化庁発行の著作権の冊子を読ませて、穴抜きプリントを埋めさせ、関連新聞記事を配って読ませています。他の学校での実践を教えてくれませんか?
西田先生(樟蔭高校):
著作権で、がちがち作品を守っていこうという流れではなく、みんなで自由に使ってもらって役に立つとその作品にお金が入っていくシステムになっていけばいいですね。パッケージを買ってくださいではなく、みんなで自由に使ってね、という広がりから、作成者にお金が入りさらに守っていくということになればいいのですが・・・。
伊美先生:
先週の授業で、著作権で気になることを書かせました。今日は、もっとその話をしたかったのですが、時間がなかったです。ユーチューブ(YouTube)についてのことを書いている生徒もいました。「授業中にして欲しいこと」を常に考えて授業を展開しています。生徒間のコミュニケーションの大切さ、相手に対する思いやりを大切にさせたいと考えています。 |