第47回公開授業

異文化学習「ドミニカ共和国からこんにちは」
研究授業
意見交換会
平成18年11月9日(火)
プール学院高等学校

授業者:村上 徹 先生(ドミニカ共和国 職業技術訓練庁)



研究授業  「!Hola Republica Dominicana!−ドミニカ共和国からこんにちは」

 5限 ドミニカ共和国ってどんな国?

 6限 異文化理解とは何?

 

 今回の授業公開キャラバンは、プール学院の高校3年(私立大文系コース)の選択授業「情報演習」を見学させていただきました。普段は、小池先生と冨田先生(プール学院情報科)が担当され、flashをはじめいろんなソフトウェアを使い,Webクリエイター体験のようなことをされている授業なのですが,今日は特別講師として、精華高等学校の情報科の先生をされ,現在は日本から技術面での国際協力としてドミニカ共和国に派遣されておられる,村上 徹先生を一時帰国の間にお招きし,特別授業を公開していただきました。



◆事前授業の紹介 (小池先生より)

10月19日に,村上先生の授業を受ける生徒に,事前アンケートをとりました。

skypeを使ったテレビ電話で,真夜中にご自宅におられる村上先生に登場していただき,直接授業をしていただきました。30分程度の時間でしたが,次のように進めました。

1)授業の最初には,skypeなどのことは秘密にしておき(実はちゃんとつながるか自信がなかったこともあるのですが),あらかじめ村上先生の仕事場とご自宅の場所をうかがっておき,google earthで日本から飛んで見せました。google earthは授業でとても効果的に使えます。今回は地球全体の遠景から本校をクローズアップし,そこから飛んでいきましたので,距離感やドミニカ共和国の空気感まで伝わったようです。

2)短いプレゼンで村上先生の紹介をし,「実は,テレビ電話がつながっています」ということで,村上先生に登場していただきました。skypeは授業の直前からつないでおき,村上先生にはこちらの音声や映像を流しっぱなしにしていたのですが,こちらはskypeを最小化し,スピーカーのボリュームを下げていたのです。

3)村上先生がVBB上に用意してくださった事前アンケートを説明しながら,生徒をリードしてくださいました。内容は生徒たちのドミニカ共和国の印象,海外援助に対する感覚などについてです。質問を受けていただいたり,村上先生も同時にVBBを開いているので,生徒たちの書いたことに対してさらに話していただいたり,という地球の裏側とVBBでコラボレーションができました。生徒たちのリクエストに答え,流暢なスペイン語も聞かせていただきました。

4)いざというときにskypeがうまくつながらない可能性もあります。たとえば映像が出ない場合音声だけで,映像が見れて音声がだめならフェルトペンで紙に書いて提示できるよう用意をして,またチャットの機能やメールで補う,最終的には生徒たちが書いているVBBに書き込んでいただいて,など代替案も考えておいたのですが,先生のお顔もクリアに見え,音声も途切れることもなく,うまくいきました。特に,DTM用の大きなスピーカーをつなげることにより,臨場感あふれる音声で,生徒たちは「本当にそんな遠くにつながっているのか?」と疑うほどで,自然な授業ができたと思います。


授業風景
◆5限目は、ドミニカ共和国ってどんな国?ということで、村上先生が半年生活されて見たり経験されたことを紹介してくれました。
職場の人たち
JICA(ジャイカ)とは・・・
日本との時差の説明
旅行者へのドミニカ紹介
教室の生徒や授業の見学に来られた方々も、まだ余り知られていないドミニカの写真や文化の違いに興味津々で聞き入っていました。
暑くても身だしなみはきっちり・・・
乗り合いバイクタクシー
雨が降れば道路はご覧の通り
ポルシェやフェラーリーも売っています
小型の携帯電話
雑誌も紹介
ドミニカと言えば、やはり野球。ナイターも人気があるそうです

 

<5時間目のまとめ>
 
一言に途上国といっても、まだまだがんばらないといけない国もあれば、後
もうちょっとで先進国の仲間入りが出来るところまで来ている国もあります。
 
また、1つの国の中でも貧富の差があり、ひじょうに発達している都市部か
ら貧しい暮らしが続いている村落まで多様にあるということを理解してくだ
さい。

◆6限 異文化理解について

<配付プリント>

1)異文化とは 何だろう?
   自分の文化じゃない文化
   ということは海外ばかりが異文化じゃない。
   例えば目玉焼きに何をかけて食べますか?

■1つ目の議論テーマ
 
「私の異文化体験」を発表してください。

 ・東京と大阪の笑いのセンスの違い。
 ・アメリカのホームステイで、野菜を洗剤で洗っていた。 (野菜洗い専用の洗剤が売られている。)
など、生徒からたくさんの意見が発表された。

2)異文化とは?
 
 日本文化でないものを異文化と呼ぶとしたら、その相手からみて日本文化も異文化である。
  では、相手にとっての異文化である日本文化を伝えるにはどうしたらいいでしょうか。

■2つ目の議論テーマ
 
 「日本文化を海外の人に紹介するには、あなたはどう説明しますか?」

 ・そもそも日本文化って何でしょうか?
  ・古典芸能の「能」に連れて行く。
  ・ 着物を着せる・・・・・
など、意見が出されました。

でも、あなたは普段の生活で毎日その文化に接していますか?
毎日接していないものならそれは自分の文化と言えますか? と生徒に問いかけます。

3)理解とは?
 

 ・知ること?   頭でわかる→胸でわかる→腹でわかる
 ・受け入れること?
 ・ 同化すること?

まずその国の言葉を理解する(翻訳ではダメ)ことが第一です。その為には、その国に行く→生活に入り込む→現地の人とおしゃべりをする(=現地の言葉で).恥ずかしがらずに顔の筋肉をいっぱい使ってしゃべってみましょう!

■自分の文化と異文化について
  自分   他人
  大阪人  東京人
  日本人  外国人
  地球人  宇宙人

異文化の境界線が変わると受け入れられる(理解できる)文化の範囲が変わってくるのかもしれません。

異文化であっても日本の国内(日本人同士の異文化)なら受け入れられる。
それは日本が自分の住んでいる国だからである。すなわち身内の文化と思えると受け入れられる。それなら外国の異文化も身内の文化と思える・受け入れることができるかもしれない。なぜなら、もし地球以外の星に文化をもつ生物がいたら、その異文化に接したとき地球人の文化は身内になるから。
 
国内の異文化が受け入れられない人は、日本以外の国と交流が無い人なのかもしれません。

  村上先生、貴重な授業有り難うございました。
 
意見交換会
   

  公開授業後に、教頭先生からご挨拶をしていただき、その後新しい校舎を見学しながら、意見交換会会場に移動しました。


各教室の入り口の扉は木製で温かい感じがします。

廊下に配置された生徒用個人ロッカーも木製です。
教室の表示にも木をつかってありました。
階段を降りたところにはオープンスペースが
LL教室が3つあるそうです
各教室には教壇がなく、黒板が上下に移動します。
厳粛で美しいチャペルでは、生徒・保護者へのお話
屋上は板張りで、緑がいっぱい
広々としています。
2期工事も進んでいます。
法人の応接室通り
水が流れる滝の夜間照明も美しい
職員室も見学させていただきました
ゆったりとした広いスペース
こんなきれいで明るい職員室なら遅くまで残っても・・・
職員室の隣には、職員コンピュータ室
など、120年の歴史を感じるところ、いっぱい美しいところがありました。職員室も見学させていただきました。
■意見交換会 3:40〜  

村上先生
去年の12月に精華高校を退職以来、授業は初めてで考えていた70%もしゃべれなかった。パスポート(緑色)も見せられなかった。前半は写真と音楽でリラックスムード。緊張をほぐすため。途上国のイメージを余り見せなかった。6限目の異文化を理解させたかったが難しかった。自分も異文化理解とは何かを分かっていない面もあるが、一生懸命話をした。

小池先生(プール学院)
先週の授業時、Google earthで見せたが、バチカンと間違えている生徒もいた。写真のイメージが強く、いい所・カリブ海の美しいさは印象に残ったのではないか。
この学校で宗教と情報を教えている。このクラスは2クラスの選択者を合体して、普段は冨田先生と2クラスでやっている。
それでは、お一人ずつ自己紹介と今日の授業の感想をお願いします。

田中先生(上宮)
授業と重なり、来るのが遅れました。最後の10分しか見学できず、残念です。

今井先生(明浄)
事前の授業を見学したかった。今回は、生の村上先生はどのように授業を展開されるのか楽しみにしていた。旅行者と居住者の立場での話は良かった。

辻先生(帝塚山泉ヶ丘)
久しぶりに参加しました。ドミニカという国は知らなかった。生徒とうまく会話ができていて、異文化とは海外だけではなく、国内にもあるというのはいい話だ。関西と関東。それらをグループでさらに深く話し合われても良かったのではないか。退職が近いですが、勉強になった。

村上先生
大阪の南北、東京と大阪の話が出たとき、宇宙人とコンタクトを取ったら、宇宙人が異文化で、地球人が文化となるというと、日本とドミニカも同化する、という話もしたかったが、できなかった。

岡田さん(ウチダシステム)
観光だけでなく、異文化の中での話で、日本の文化を紹介するにはどう説明すればいいかを考えたとき、うまく表現できなかった。むずかしいですね。

市村さん(ウチダ)
担任の先生のように生徒と接して、異文化交流をうまく説明されていた。異文化理解の説明で、自分たちの普段の生活を紹介することが、日本の文化を紹介することになっているというのはいい言葉です。

長谷川先生(京都橘)
身近な説明があっていたと思う。昨年夏休みにネパールへ行ったが、それを授業に活かせなかった。ただ、ネパールを紹介しただけで、村上先生の今日の授業は参考になった。

石井先生(金蘭会)
途中から参加させていただきましたが、村上先生は、プール学院の先生かと思われるようだった。事前学習がとても良かったのではないかと思われる。自分は何かが分かってないのではないかと感じた。

北野先生(プール学院)
ドミニカは全く知らなかった。授業は楽しかったし、授業の進め方はすごく参考になった。

村上先生
ドミニカの情報って、とても少ないのです。本でもインターネット上でも・・・

古家先生(プール学院)
理科を担当しています。ICTプロジェクトにも参加しています。あのクラスの生徒をどう扱っていくのかを参考にしたくて参加しました。異文化って何んだろうって考えました。生徒と私の異文化を理解しないとダメだなと痛感しました。

村嶋先生(浪速)
2年前、同じ学校で仕事をしていましたが、その時と全く同じ進め方でした。日本って何を自慢できるのだろうかと考えてみました。関西の生徒の発想の意見が多く出ていましたね。

瀬古さん(日本文教出版)
30年ぶりに高校の授業を受けて、フレッシュな気分になりました。生徒と私の異文化を痛感した時間でした。

小林先生(清教学園)
大阪信愛女学院の石部先生と話をしていて、やっぱり村上先生は本当の国際人やね。実際にドミニカに行くって、すごいなあと。「まあ、いいか」という言葉を5,6回聞いたが「のんびり」した性格になったのでしょうか? もし、宇宙人と対面したら・・・という話は異文化というより哲学的で、究極の1対1になり、「いじめ」にもいい。音楽をかけながら授業を進めるっていうのはいいですね。

小池先生
(先週の授業を説明)
パワーポイントで村上先生を紹介。スカイプを初めて使った。USBカメラを買って、その日のお昼に初めてつなげた。スピーカーが良かったので、よく聞こえた。村上先生を紹介するプレゼンを行い、村上先生のVBBに意見を書かせた。また、村上ネットも紹介した。

村上先生
事前は緊張したが、次第に慣れてきた。高校生との異文化はそんなに感じなかった。発展途上国にも差がある。ドミニカとドミニカ共和国は違う国って、知ってますか? ドミニカ共和国の近くにドミニカという国もあるのですよ。

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