第39回公開授業

高校2年 「情報C」
イメージCMの制作
研究授業
意見交換会
平成17年11月25日(金)
聖母被昇天学院高等学校

授業者 岡本 弘之先生 坂東 永智先生 (情報)



研究授業

 6限 イメージCMの制作 発表

 

 

 第39回のキャラバンは、紅葉がまだ残る箕面にあります聖母被昇天学院高等学校を見学させていただきました。授業担当は、本来地歴・公民科でしたが、通信教育で情報の免許を取得された岡本先生と、理科の教員で情報の免許をお持ちの坂東先生とのティームティーチングで行われました。このお二人のコンビがうまく担当分野を分かちあってやっておられ、羨ましく見せていただきました。

 授業内容は、パワーポイントの自動スライドショーを使って、複数の写真と音楽、メッセージを組み合わせた1分程度の「イメージCMの制作」(合計13時間)のうち発表の2時間目を見学させていただきました。テーマは自由だそうですが、何らかのメッセージを発信する内容として、そのコンテンツを表す「キャッチコピー」を必ず入れるように指導されたそうです。

 下書きシートで企画を練り、テーマに沿った写真を集め、Windows Media Player で音楽CDから録音し、スライドを作成するという手順でやってきて、いよいよ作品の発表を行い相互評価の時間を迎えました。この単元で今までに配布されたプリントは画面上の「資料」(PDFファイル)をご覧下さい。

 岡本先生は、ご自分の授業実践をWebにして一般公開されています。「自転車操業の授業実践 情報科の授業実践のページ」
  

授業風景
パワーポイントで作品を見せる前に、今回の作品のねらいや工夫した点についてコメントを発表してくれます。その後、BGMとともにパワーポイントのCMが始まります。



作品には、我々には発想できそうもないようなものも・・・・
生徒らは、たくさんの先生方の前ではっきり堂々と発表していました。これには驚きました。
BGM音楽の使い方もなかなか効果的でした。
一人の発表が終わるごとに、生徒たちはPCでエクセルのシートに相互評価を入力していきます。
このエクセルシートは、1つのファイルで「共有」し、串刺しで集計できるように設定されていました。
映画・娯楽・スポーツ・環境などなど いろんなテーマとコンセプトでのCM制作発表でした。
 
意見交換会

司会: 長尾先生(大阪信愛女学院短大) 

  

校長先生からご挨拶をいただきました。

岡本先生から今回の授業についての説明をしてもらいました。

長尾先生
  では、いつものように今回の授業担当者の岡本先生に、この単元の授業を実施しての感想や補足がありましたらお話ししていただきます。

岡本先生
 この授業の導入で、以下の3つの作品を見せ、イメージを広げさせました。
  1) 明治生命のCM
  2) 北海道への修学旅行のCM(音楽・写真・文字のみ)の見本(坂東先生制作)
  3) 去年の生徒作品
 また、本校では、1年生全員が「情報A」を履修、2年ではグローバルコースの生徒全員がさらに「情報C」を受講しています。

長尾先生
  先生方でこのようなCM制作の実践をされている方は?

成瀬先生(京都女子高)
  私も、岡本先生のアイディアを参考にして4コマ(シート)でやらせています。

今井先生(明浄学院高)
  本校は情報Aを1,2年生で1単位ずつ分割履修させていますが、2年の後半でやらせています。音楽やパラパラアニメ、写真、文字に限定し、今回の発表内容とよくい似ている作品も多いです。

長尾先生
  今回の授業を見学しての感想をお願いします。

小池先生(産業技術短大)
  パワーポイントの機能に制限される、または機能をうまく使えるという事で表現が制限されているのではないかと生徒に聞いてみたい。パワーポイントの機能の中で上手に使っているが、プレゼンソフトだから絶対ではない。生徒の表現したい事とのギャップは無いのでしょうか?

岡本先生
  こんな事ができるか?と聞かれたら、全員に前で説明している。社会や大学へ出たらパワーポイントが使えないといけないと思うから、その操作を習得させることもポイントの1つと考えている。

森本先生(堺女子)
  「日本の紹介」のCMはかなりの出来映えで、生徒のスキルの高さはすごいと感じた。2点質問、1点は、著作権はどうかな?と思う作品もあった。私はWeb制作の授業をやっているが、Webから勝手にコピーして取ってくる生徒が多く、無理矢理禁止させている。先生はどう指導されているのか? 2点目は、今までの情報の授業でどのようにやれば、生徒のスキルがここまで上がるのか聞きたい。

岡本先生
  BGMは生徒は作れないので、自由に使わせている。しかし、その後これらは公開できないよ・・・・から学ばせるよう話をしている。教室内で使用する場合に限ってはOKだと思う。もう1点の生徒のスキルは、情報Aをすでに1年で2単位履修し、2年で情報C2単位を学んでいる。2年の1学期はPhoto Shop Elementsでの写真加工を実習した。坂東先生とのチームチーチングなので、非常にやりやすく助かっている。

吉澤さん(キャリアリンク)
  著作権については気になった。授業の主観から考えるといいのではないかな。JASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)に申請するといくらかかるかを生徒に知らせたらいい教材となると思う。

内池先生(長尾谷)
  甲子園に出場した学校の試合写真をその学校のホームページにアップするには、高野連の許可がいるという話を聞いたことがある。

吉田先生(大阪樟蔭)
  本校でもよく似たCM制作の授業を行っている。CM(コマーシャルメッセージ)なのだからメッセージがないといけないので、生徒らの感性を生かせるために、先にCM分析をさせてから制作の授業に入っている。「市長」のCMはなかなか良かったが、1作品の発表の後に質疑応答があればよかったのではないか。本校ではその時間を取っている。

岡本先生
  CM分析は、2学期のはじめに日本文教出版社のページに「人気CMランキング」があるので見せて分析させている。そのページは、著作権処理をされているので、自由に見せてもOKだそうだ。すべての作品発表後に、さらに深く分析したい。

平田先生(京都女子)
  作品のセンスがとてもいいと感じた。それぞれの作品に伝えたいものが全面に出ていた。テクニックに走っていないところが文系の先生が指導されているからだと感じた。

小林先生(清教学園)
  生徒の授業に対する態度や姿勢がとてもよかったと感じた。自分がこの授業をやるにはしんどいのではないかと感じた。一人終わったごとにコメントをするのは大変だが重要だと思う。このCMを先に見ておき、コメントを用意して適切なコメントを考えておくといいと思う。今日の作品は、想像よりはるかにいいものであった。

赤沢さん(日本文教出版)
  生徒らも普通にPCを扱って作品を作っているのに感動した。機器を使える高校生とメッセージを上手に伝えられる高校生がバランスよくやっていてすごいと思う。

高井さん(日本文教出版)
  PCのスキルはとても高いと感じた。メッセージの伝え方に重きを置くのかテクニックに重きを置くのかを考えたときに、CM制作の授業はとてもいい教材だと思う。制作時間の6時間の授業の中で一番多かった指導は何でしたか?

岡本先生
  アニメーションの効果はこんな事がしたいと生徒からの声が出た時点で機能を教えた。イメージを沸かせ、やりたいときに説明したら生徒はしっかり聞こうとする。生徒はさらにもっと高度なことをやりたがる。教員が知らないことなら、また、こちらが学んでスキルアップして教える。これでいいのではないかと思う。

坂東先生
  私どもも分からないこともあるので、宿題としてまた研究する。生徒がやりたいことをやらせてあげたいと思っているので、頑張って教員のスキルもアップしている。28人の授業をTTでやらせていただいているので助かっている。

長尾先生
  私は学生に大学祭のポスターを制作させている。学生にアドバイスを求められたときは、その生徒だけにアドバイスをしてやれる事が大事で、そのアドバイスで学生が納得することがある。これは大切だと思う。

吉澤さん
  元デザイナーとしてのアドバイスを一言。今日発表された作品で、例えば、テーマ「日本」・コンセプト「四季」。テーマ「K1」・コンセプト「対決」というようなテーマとコンセプトをしっかり持っていないといい作品を作ることができない。コンセプトメイクが、見る人に伝えたいものを伝える。明治生命のCMのコンセプトは「あなたに出会えてうれしい」というように、コンセプトとして考えさせるともっとうまくいくのではないか。

小林さん(富士通FIP)
  生徒の作品のレベルの高さに驚かされた。会社内でパワーポイントを使ってのプレゼン大会があった。10画面で7分間というもので、なかなかむずかしかった。

岡本先生
  こういう教材で授業をやるには、著作権があるからダメではなくて、これらの写真や音楽を使うにはこういう方法(例えば、許諾を得るためにどうするかなど)があるよ、と指導してやっていけばいいと思う。

このように、90分にもおよぶ有意義な意見交換会を行い、さらにその後は紅葉が残る箕面の駅近くで懇親会をおこないました。

岡本先生、坂東先生、鹿嶌先生 どうもお世話になりました。

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