第37回公開授業

高校1年情報A 「学問」って何?
様々な学問分野に目を向けてみる

研究授業
意見交換会
平成17年9月30日(金)
啓光学園高等学校

授業者 名手 智紀(情報)



研究授業

 7,8限 様々な学問に目を向けてみる(第1回 導入)

 

 

 第37回のキャラバンは、ラグビー日本一の啓光学園高等学校におじゃましました。京阪枚方市駅から高台に向かって徒歩10分の所にある男子校です。

 啓光学園では、1年生から計画的に進路指導を行っているそうですが、2学期の情報の授業は、その進路指導とタイアップした内容となっているそうです。グループで調べて、まとめて、発表するという計画です。今回見学させていただいた授業は、その第1回目で、「導入」と「図書館を使っての調査1」でした。

7限 授業風景  パソコン教室
啓光学園では、授業の始まる3分ほど前から、「情熱大陸」のテーマソング(Etupirka)が流れ、その音楽と共に生徒らが教室に入ってきます。その音楽の終了と共に今度はチャイムが鳴って、授業が始まります。
前のホワイトボードには、「本日はパソコンは使いません。
逆引き大学辞典を前に取りに来る。」と書かれていました。

「逆引き大学辞典」と「教科書・副教材」
プリントが配布され、今回の授業についての説明を聞きます。
授業見学に来られた先生方
グループを決め各グループのリーダーを選びます。そのリーダーに作業シートを渡します。
各グループで、グループリーダーを中心に、レポート作成リーダー、発表リーダーを決めます。
逆引き大辞典を活用して、各グループテーマを相談します。「授業見学に来られた先生方、各グループに随時アドバイスをしてください。」と
名手先生がおっしゃったので、先生方は色々コメントをされていました。
各グループのテーマが、学問のどの分野に入るかを決定します。分野が重なった場合は、じゃんけんで決めました。
生徒のファイルノートを見せてもらいました。ノートのトップページは、各自が作った作品だそうです。
授業で配布されたプリントにきっちりと書き込まれて、ファイリングされていました。
8限 授業風景  図書館
7限目は図書館に移動しました。まず、図書館での作業の説明です。
情報カードをたくさん配布し、そのカードに各グループの分野に関係する言葉(調べたこと・思いついたこと・キーワードなど)
を1人10〜20枚程度書き込みます。その際、同じグループのメンバーとは相談しないこと、と注意事項を説明。
次に、グループでカードを見せ合って、そこから思いついたことやアイデアを記入してカードを追加します。
本を探して、見つけたことをさらにカードに記入します。
カードを各グループでまとめて提出します。
最後に、次回までにふと思いついたことをメモするように指導。
次回の説明。
最後に挨拶をして、授業は終わりました。5:10
 
意見交換会
司会: 長尾先生(大阪信愛女学院短大)   記録: 吉田先生(大阪国際大和田高等学校)
  
山口教頭先生からご挨拶をいただきました。
長尾先生の司会で意見交換会が始まりました。

 
長尾先生
 公開授業を実施した感想や授業への補足がありましたらお願いします。

名手先生
 予行練習的に別のクラスで今日の3時間目に一度やりました。(うまくいかなかった)緊張はしなかった。話をよく聞いてくれるクラスだったので、朝よりいい感じで進めることができた。今回の取り組みは、大学時代からあたためていた。情報は、文系でも理系でもなく、いろんな方向から入ることができる。今回は進路指導と絡めておこなった。

山本先生(清教学園)
 生徒に少し聞いてみると、6人中6人とも行きたい学部などを答えた。今までに進路指導が十分行われているのですか?

名手先生
 逆引き大学辞典で、一度考えさせられているので、決まっている子が多いのでは。

山本先生
 今日の授業の落としどころは?

名手先生
 目標のある生徒は、自分の目標以外を知ってさらに目標に深める。目標のない生徒は、とにかくいろいろあることを知る。

西田先生(近大附属)
 最終的には発表するのか?

吉田先生(大阪国際大和田)
 発表の仕方はあらかじめ説明しないのか?

名手先生
 レポートの指導にはいったら、説明する。はじめからは説明しない。

長尾先生
 今回の授業のねらいは、大学でどのような勉強をしていくのかをはっきりさせることですか?それとも単にどんな学問分野があるかを広く知ることなのでしょうか?

名手先生
 後者です。

長尾先生
 参加の先生方も自分が担当するならと頭の中でシミュレーションしながらご覧になっておられたと思いますが、自分だったらどう展開するかといったアドバイスはありませんか?

池田先生(上宮)
 カード→分野・テーマかと思ったが、テーマ→分野→カードだった。こんなやり方もいい。勉強のやり方を勉強しているようだ。カードは、ものすごくいろんなことが書けていた(狭い範囲で深まった)

長尾先生
 授業の最初の辺りで、生徒からの意見を引き出したりすることがなかったですね。せっかく生徒から「髪の毛」という言葉が上がっていましたが、増毛といった話にでもつなげて、もう少し髪の毛の問題が、色々な所に関係していることを示して欲しいと思いました。頭皮の話や医療だけでなく、心理的な問題も関係してくる問題であるという具合に!

名手先生
 互いに内容を隠していたので、広げられなかった。カードについては、思いつくことについて、何でもいいから調べてほしかった。分野カードは、いろんな分野に進んでほしかった。分野にしばられないようにテーマからはいった。

池田先生
 他にまわれというのは、情報をもっておかなければならいという証拠だった。

吉田先生
 調べ学習を深める方法は?発表への指針を示した方がいいのかな!?

長尾先生
 生徒に対して、こうしてはいけない、といった縛りをかけている部分が幾つかありましたね。たとえば、グループ作業は、連帯責任ですよ、とか、図書室では、漫画を読んだりせずにしっかり調査をして欲しい、といった具合に。彼らは、上手にもっていけば、もっと自ら面白がっていく生徒ではないでしょうか?

山本先生
 実践例として、
中学1年に図書館で調べ学習をしている。
カードをひかせる → カードの内容が
・太宰治の本名は? 津島修治
・「目からうろこが落ちる」はどの聖書にのっている? 新約聖書
中学2年では、
 テーマ 「冬」  個人でイメージマップづくり → みんなでイメージマップをつくる、というのをやっていますが、イメージマップがつくれない生徒が多いです。それで、こちらからかなりアドバイスをあげないといけない状況です。

長尾先生
 山本先生が言われたようなことを中学段階でやれるなんてすごいですね。

米田先生(羽衣学園)
 形成法・イメージマップなどいろいろある。「〜学」というのは、進路系を担当する人はわかるけど、最近は境界線がなくなっている。テーマ→学問「〜学」の選び方は?

名手先生
 関連を無理やりにでも考えてみようとさせた。テーマが重なったとき、じゃんけんにしたのは、話し合いにしたかったが、テーマをお互い内緒にしたので、話し合いにはしにくかった。


 

小林先生(清教学園)
 カードに書いてというのは、個人の情報処理でもおこなう。個人と集団での意義が異なるような・・・。個人の場合は学習として進んでいくが、集団の場合は自分の思いつかないことが出てくるのでそこにエネルギーを使ってしまう。

長尾先生
 グループ活動をするということは、一人で作業をするよりも多くの発見があるということを確認させてあげれると良いのですが。そうすれば、自然にグループの主体的な活動につながるのではないでしょうか。

小林先生
 例えば、グループで文章をつくれと言われると、苦労が加わる。一人では情報量が揃わないけど、苦しさも加わる。

名手先生
 今回決めたようなリーダーをそれに活かせたらいいのだが。今の時点ではうまくいっていない。

米田先生
 発表の方法はどうするのか?

名手先生
 一人でやってもらおうかと。他の人は発表練習で意見をいってもらう。この授業は、2学期いっぱいはかかると考えている。

吉田先生
 同じテーマをやり続けて生徒らは飽きないのでしょうか?

名手先生
 11月の最初まで。2時間×5回 あいてしまうと忘れてしまう!

長尾先生
 イメージマップ用のカードを授業終了後に集めていましたが、つまり次週までそれを見ないということになりますね。渡しておくと、持ってこないことになりますかね!?メモをとる重要性などは、もし本当にそう思っていたら、生徒に実践しているものがいるかどうかを尋ねたり、先生自身のメモの取り方を紹介するなどすると良かったと思います。

山本先生
 カードを打ち直してみせるという方法もある。カードが文で書いているところと単語のままのところがあった。早い段階で共有するといいかも。

池田先生
情報の授業を進路と絡めていることが面白いと思う。1年生から目的意識があって勉強しないといけない。今度は、自分で調べたりできるようになるので良いと思う。

名手先生
 大学生でもそうだが、目的意識があると違ってくる。テーマによって、クラスによって、うまくいくことといかないことがある。

長尾先生
 やはり授業の指導方法は、クラスによって適切に変えていく必要があるでしょうね。

池田先生
 情報は、学力と違い逆転現象も。下からの積み上げがないのが影響。

山本先生
 学生時代からあたためていたこととは具体的に?

名手先生
 情報は、教科にとらわれず、何にでも手を出すことができるから、たまたま今回は進路関係だが、何かを調査をして発表するということをしたかった。

山本先生
 それは学び方の学習になるのでしょうか。

西田先生
 実習室を使わずに、今回のように情報ができることを盗ませてもらいたい。

山口教頭先生
 情報という教科自体が若いので、いろんな取り組みができる。文部科学省は、「各教科と連携し・・・」と言っていた。まさに、その実践ですね。いろいろ工夫できるし、工夫のやり甲斐がある教科ですね。みなさん、頑張って下さい。

 

top   back