IT化に潜む韓国社会の影




 3年前、19年間住んだ日本から帰国した李章柱氏は、帰国後3年たって、ようやく急激に変化した韓国社会になじめるようになったという。そんな李章柱氏は、インターネットがなければ生活できないと言いながら、問題もいっぱいありますよ、と語っていた。たとえば、「小学生はコンピュータゲームに熱中している」が、核家族化、共稼ぎ家庭の増大で、子どもの社会性が低下し、学校ではいじめが増えている。インターネットを使った対戦型ゲームで、感情的になり、呼び出して、傷を負わせる事件も起きてきている。

 母親も社会性が育つよりは、よその子どもよりもできる子どもを望んでいる。最近では、このような子どもたちに危機感を募らせて、有料ではあるが、放課後、学校の中で、ピアノなどの習い事教室などを開く学校も現れてきている。

 13才から18才の受験世代をあらわす1318世代は、そのストレスから喫煙に走り、(最近の調査でも15才以上の男性の喫煙率は72%といわれる)落ちこぼれたものは、家出し、援助交際に走る(「援助交際」は、援助も交際もプラスイメージの言葉なので不適切だとして、昨年、ソウル警察庁は「青少年性売買」という用語を使用するように決めたという。東郷良尚(財)日本ユニセフ協会専務理事の投稿記事:毎日新聞4月1日)。この援助交際の原因としては、学校での落ちこぼれ以外に、貧困による家庭崩壊が挙げられ、97年のIMF管理下以降、援助交際が増えているという。ただし、貧困から援助交際に走るという韓国の状況は、小遣い銭稼ぎを目的とする日本の援助交際とは、質的に異なるものである。

 また厳しい受験競争から逃れるため、国際化による影響とは別に、従来の家族ぐるみの海外移住から、子どもが一人で留学するケースが増えているという。

 受験競争については、従来から、キム・スンナム先生のように、大学に入るとバーンアウトして勉強しなくなるとネガティブな面を指摘する声が強いのだが、実際には、学校に残って夜11時まで自習室で勉強する状況も続いているし、テレビ会議などで韓国の高校生に「日曜日には何をしていますか?」と訊ねると、眠ります、という答えが返ってくる状況は、今も変わっていない。「故郷の家」プロジェクト(http://www.redslope-kip.com)に参加した正義女子高校のサンミーは、週3回、6時から10時30分まで塾に通っているが、受験勉強の邪魔になると親からインターネット回線をキャンセルされている。したがって、家庭でインターネットを利用していないという場合でも、貧困のために利用できないというケースだけではないようだ。ガイドの金恵善さんによれば、田舎では家庭にパソコンやインターネットがない家庭もあるが、インターネットカフェでパソコンやインターネットを利用しているという。

 韓国の生徒の健康問題の一つに睡眠障害があげられるのも、受験の厳しさを表している。大学入試が変わらなければ、いくら高校以下を無差別にコンピュータで入学する学校を指定したとしても、受験競争は軽減されない。そこで、2年後には、大学入試も平準化するという驚くべき提案がなされているというが、果たして、そんなことが実現するのか、きわめて疑問である。一定の競争がなければ学生は勉強しなくなるだろうし、社会のイスタブリッシュメントに属するソウル大学出身者や教授が、そのような提案に賛成するとは思われない。しかし、これが実現すれば、同じ問題に直面している日本にも大きな影響を与えることになろう。

 
小学生では漢字教育がされています




充実した訪韓でした




仁川国際空港はホント大きい


空港のレストランで激辛冷麺を・・・

大山が窓の下に