激動の韓国教育界




 これまで述べてきた以外にも韓国の教育界は短期間に様々な改革がなされてきた。数年前までは、課外での塾が禁止されたため、夜遅くまで学校に残って自習する姿が見られたが、塾解禁で、すべての教室が夜遅くまで、照明がついているという姿は消えた。

 しかし、漢江(ハンガン)より北の高校では、早朝の0時間目から授業をしてほしいと親が希望するのに対して、南の豊かな地域では、放課後、塾に通わせることから、健康に悪影響があるとして0時間目の授業には反対している。

 2000年には教員の定年が62才から60才に短縮され、多くの教員が教壇を去った。これは、ITの教育導入の促進を図るための強行策であったのかも知れない。また、今年度から高校のクラス定員が50名から36名に減らされたため、正義女子高等学校では、それまでの40クラスから60クラスに50%もクラス数が増え、教員も40人を新たに採用しなければいけなくなった。

 小学校でコンピュータの授業のかたわら、システム管理やパソコンの修理・メンテナンスまで行い、過労気味だったキム・スンナム先生の夫人が、漢江の南の高等学校に転勤できたのも、このような動きと連動したものといえる。

 教育のIT化を促進するため、正義女子高等学校では、現在、情報教育センターが建設中で、まもなく完成する。従来、韓国でもITといえば、商業高等学校や電算高等学校が中心だったが、今では、正義女子校のような文化系の進学校でも、ITに力を入れているのだ。

 クラス定員の削減とクラス増は、IT化投資とともに、多大の出費を強いられる。この点を正義女子校のユン・ナムフン校長に尋ねると、政府の助成金でまかなっているという。E1という2メガの専用線も、すでに5〜6年前から、政府の要請で、教育用回線は月6〜7万円程度と、かなりの格安となっている(現在の価格は確認していない)。

 このような急激・過激な変化の中に、次の時代を見据えた教育を目指す国家の意思がはっきり見て取れるのだが、韓国の変化を見たあとでは、日本の教育界の変化は、いかにも鈍いように思われる。

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