KERIS(韓国教育学術情報院)
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通訳の李さんは,関西大学の総合情報学部に在学中の留学生で,KERIS訪問が実現したのは,この大学の水越教授の紹介による。ここで初めて私たちの一行は漢江を渡り,南の新興住宅地へ入っていったのだが,KERISは地下鉄2号線と3号線が交差する教大駅下車,端草洞のアリランタワーの中にあり,アリランテレビ局も,このタワーの中から海外向けの放送をしている。
KERISでは,同時通訳施設のある部屋で,経営企画室のイー・ヨンヒョ室長から全般的な説明を受け,経営企画室広報国際チームのキム・ヨンロク氏たちが室長の補佐をされた。KERISのような文部省の機関に我々のようなグループが訪問でき,多忙な高位のスタッフから説明を受けることができること自体,すごいことだが,説明が2時間を越え,昼食時間に入っても,なお,ネットワークシステムを案内しようと申し出てくれるなど,そのもてなしぶりに韓国の熱さを感じるのだ。もっともネットワークシステムについては,我々の方が次の予定の関係から,お断りしなくてはいけなかった。
KERISについては,英文ページもあるので,事前に勉強しておいた。したがって,イー室長が,KERIS関係の資料を回して,我々の質問を受けるところから会議をはじめようとしたときに,役にたった。
Q 「KERISは96年に前身が創設されたと理解しているが,文部省の機関なのか」
A 「文部省の機関のひとつ韓国教育開発企画院(KEDO)からサイバースペースを利用した教育システム構築のため分離して設立された」
Q 「EDUNETは低価格でサイバースペースを用いて国民に教育サービスを提供することを目的とされているようですが,利用料金は?」
A 「無料である」
Q 「EDUNETのユーザー数は,2002年までに500万人を目指すとありますが,在日韓国人など海外居住者の利用は,どの程度あるのか?」
A 「海外同胞の統計はとっていないので分からないが,少数である」
Q 「EDUNETのコンテンツを見ようとしたところ,IDとパスワードが要求されたが,我々日本人が利用することは可能なのか」
A 「登録のチェックはKERISの担当ではないが,住民登録番号が必要なので外国人の登録は不可」
Q 「EDUNETのコンテンツ作成は,教育関係者などのアドバイスを受けた上で,KERISのスタッフが,すべて製作すると話されたが,たしか,KERISは100名以下のスタッフだと記憶しているが,これで,すべて製作できるとは考えられないが」
A 「先ほどの説明は不十分で,企画はすべてKERISだが製作にあたってはアウトソーシングも利用している」
と矢継ぎ早に質問をした。そのあと,他の先生方の質問も相次ぎ,会議の時間が長引いてきたので,早く,実際のコンテンツを見たいと,地下のプレゼンテーションルームに移動し,音楽や算数,保健体育のページを見せてもらった。
イー室長の話の中で,特に印象に残ったのは,現在,副教材としてノートブックを生徒に持たせるようにしているが,近い将来,シンガポールと同じようにPDAを持たせる計画を進めているという。これにたいして,お金をどうするのか,と大阪信愛女学院メディアセンターの長尾尚副所長が質問したところ,にやっと笑って,それが問題と答えられた。
KERISでは2001年度までは,無料配布の月刊誌「エデュネット」を発行し,全国の教育機関に配布してきたが,2002年度からは季刊誌になった。内容は実践事例や教師のための情報活用テクニックなどであるが,コスト面とともに,インターネットの普及とウェブ上でのコンテンツが増えるに従い,ペーパーメディアよりもウェブの比重が高まってきたことなどから,発行回数を減らすようになったのかも知れない。
実際,「2001年版教育情報化白書」(教育人的資源部・韓国教育学術情報院)によれば,EDUNETを利用している教員数は95%を超えている。EDUNETの利用は中学生がもっとも多いのか,加入者数が49.5%と半数を占めている。高等学校は41.2%,小学校は31.1%。なお学校組織としては,小学校の加入がもっとも高く98.9%,中学校87.7,高等学校63.1となっている。ただ,これはあくまでの会員数であって,実際に利用している頻度を表すものでないから,これだけでは実態はつかめない。この点については,後日,わかった段階で報告する。
KERISは日本でいえば教育情報ナショナルセンター(NICE:http://www.nicer.go.jp)が,これにあたるが,コンテンツは,まだまだEDUNETにはかなわないような印象を受けた。なお,KERISでは高等教育機関用には別にRISSを運営しているが,これは,日本のメディア教育開発センター(NIME)にあたるものであろう。
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KERISが入っているアリランテレビ局タワー
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KERISとは,「KOREA EDUCATION &
RESEARCH INFORMATION SERVICE」の略
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広いこのフロアーでは職員が仕事中
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同時通訳施設のある部屋で,経営企画室の
イー・ヨンヒョ室長から説明を受ける
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プレゼンテーションルームで「EDUNET」の説明
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音楽や算数,保健体育のページを見学
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KERISが入っているフロアからの眺望
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KERIS訪問記念に写真を!
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