ではまず,引率の先生方,少しコメントをいただけますか。
吉村先生(春日丘高校)
9月はなにもできず,10月のはじめに修学旅行,そのあとテスト,そのあたりからやりだした。教師の見習い期間を設けてとかどうとかありふれたことをやっていたので,練り直しを命じたこともある。ここに連れていらっしゃっていた先生方のご苦労がよくわかりました。
石部先生(大阪信愛女学院高等学校)
実は生徒を甲子園に出したのは初めてでした。古矢先生がほとんどやってくださったので。
古家先生(大阪信愛女学院高等学校)
彼女たちそれぞれ個性があるので,意見の出し合いまでは順調だけど,その後はふくれている子もいた。それでもなんとか,かんとか。いい勉強になりました。
山本先生
1〜4回のセッションを通して,生徒のモチベーションは?
古矢先生
はじめは内にこもっている様子だったけれど,4回目が終わると,他の学校と戦うということになり,負けたくないという気持ちが強くなったようだ。どうやったら勝てるかということを意識しはじめたと思う。すごく考えられるようになったと思う。
池田先生(上宮高校)
最初は法律というテーマだったので,かなり難しく考えている様子だった。いまの法律を守らせるための法律なんて込み入ったことを考えている子もいた。打ち水法はいろいろ出した中でキープしていたネタだった。ほかにもいろいろ考えたようだけど,断念し,キープでおいておいた打ち水にした。最後の追い込みはすごいものがある。スライドは1週間でつくった。
山本先生
男の子はセッションの連続で気持ちを保つのが難しいと思うけれど。
池田先生
彼らについては,非常に明るい子だし,その心配はなかった。彼らは大和田が優勝候補だと感じていた。だから大和田に勝つためにはどうすればいいかというふうに考えていたと思う。
野村先生(大阪国際大和田高校)
指導された吉田先生が来れなかった。去年までをみていると,個性的なプレゼンがうける雰囲気があった。でも吉田先生としては,基本にたちかえったものにしたいという指導方針だった。彼女たちの考えは,みんなにわかるようにということがあった。画面の文字も最初はたくさんあったようだけど,かなり手をかけたと思う。プレゼンの練習はこの1週間が最後の追い込み。昨日の7時過ぎまで台本を練っていた。今日の朝も2時間くらい,練習していた。どんなに詰まっても台本無しでという意地があった。
山本先生
時間的に厳しいというのはどのチームを見ていても推測された。
小池先生(プール学院高校)
プレゼン制作最短記録,金曜日5時過ぎからつくりはじめたのかな?
昨日は1時〜7時。ディベート形式にしたいとか,こんなテーマにしたいとか,ばらばらの考えだけれど,あった。それを組み立てることができたので,よかったと思う。でも,明らかにリハーサル不足。学校に帰って,講堂で表彰状を全校生徒の前で授与される予定。そういう舞台にあこがれていたようなので,よかった。
笹谷先生(相愛高校)
セッションには2回しか出ていない。いろいろな面で,努力不足。自分が一番この会に出たかったので,自分自身にはよかった。生徒に募集をかけようと思ったときに,何も材料がないので,何か作りたい。教室に張れるようなポスターのようなもの。引率して連れてくるわけですけれど,毎回違う学校に行くのには抵抗があったようなので,一箇所でできるといい。終わりが遅くなる,終わると生徒だけを帰していたが、女子なので最寄り駅までは連れて帰るのが一般的だと思うので、だれか全員を最寄駅まで連れて行けるといいと思った。
山本先生
大阪学院さんは引率なしですね?
―なしです。
他の先生で何かクレームが出たという事例はありますか?
―とくにない
今日のプレゼン甲子園について,こういう点が変わってきた,それはどうなのかという意見を聞きたいのですが。OBさんどうでしょう?
OBの参加者
―1回目のときは先生方も手探りであることがあったと思う。回を重ねるごとに,改善されていることもあるでしょうし,プレゼンの水準も上がっているのではないでしょうか。大学では,語学専攻で,人前で話しをすることもあるので,この会での経験は役に立っていると思う。
―プレゼンの完成度はレベルアップしていると思う。1回目のテーマは旅行先のことだったと思う。具体的にどこにいくかということに力を入れすぎて,プレゼンの構成とかに力を入れられなかった。今回のものを見ると,改善されていると感じた。
山本先生
先生に何かいいたいことありますか?
OBの参加者
―(1回目のときは)会場のスクリーンの数を全然知らなかったのが痛かった。
―だいたい二人と意見は同じなんですが,先生方の指導の方法は,学校それぞれだったと思う。小池先生は放置に近い指導だった。第1回目はそのあたりの違いもあって,明らかな差があったように思うが,今回のはあまりレベル差は感じなかった。生徒に一番近いのは,AO入試とかだと思いますけど,推薦入試でも面接がある。
山本先生
さて,指導されていた先生どうでしょう。
小池先生
指導する側の意識の統一の問題ですが,プールと上宮で交代してやってみようかという話はあったんですが,両校ともにぎりぎりだったのでできなかった。でもそういうことはやった方がよかったように思う。
山本先生
ちょっとでにくいようなので,セッション全部ひっくるめてやりましょうか。今年は代替わりが進んできたと思う。
石部先生
今回ほとんど何もしなかったので,その代替わり自体は進んだと思う。1回目,2回目の印象が強くて,3回目からその色を抜こうという方針でやった。4回目は払拭できたかな。その分,教員の研修に寄与できたのかなと思った。新しい血が入ったことは間違いない。おもしろいセッションをしようという条件は満たされたと思う。えらそうに,セッションのたびに,ホームルームティーチャーに「はいつぎ,はいつぎ」というだけの司会はやめませんかと言ってきた。白川先生と冨田先生は,ちゃんとからんでいた。ただの進行じゃなくて。そこのところは随分よくなっていたと思う。閉会の時に「セイユーセイミー」を流しながら,語りを入れたかった。それも冨田先生に突然降りましたけど,ちゃんと入れてくれた。そういう「いじり」で関わっていきたいと思う。
山本先生
第3回のときには,司会のことで白川先生と冨田先生には活躍いただきましたけど,今日はどうでしたか。
冨田先生(プール学院高校)
代替わりとかそういうことは意識していたわけじゃない。自然なフリだったと思う。いろいろ勉強させてもらいながら,新しいものも入れられたかなと思っています。生徒のことで,去年の振り返りのときに,できる子が集まっているという話になっていた。今回は,生徒の層が変わったんじゃないかと思った。プレゼン甲子園に参加しないような雰囲気の生徒がいた。生徒の違いというのが,私の中では見てて面白かった。
白川先生(プール学院高校)
第3回のHRティーチャーをやらせてもらって感謝しています。正直なことをいうと,第3回では,自分のモチベーションが少し下がりました。いろんなこと振り返ってみて,さらに上,さらに上という気持ちを持続させるのが大変だということを実感しています。4年も続いたのはすごいことだと思います。新しいことといわれても,モチベーションとしては上がってこなくて,毎回同じことというわけにもいかないし。うまくまとまりませんが,正直な気持ちです。
林先生(プール学院高校)
(話の流れと)まったく関係ないことですが,いつも楽しみにしているのは,上宮の先生によるエキシビジョン。パワーポイントを使わずにやるというのがすごい意味があるのではないかと思う。意味があると思って生徒も見ているんだけれど,意味があるのかないのかいまだに謎。相手に伝わるということを第一に考える。
山本先生
私は一度もエキシビジョンを見たことがない。上宮さん何か意図はありますか?
池田先生(上宮高校)
今年は一番考えやすかった。去年,一昨年は具体的な(なんらかの数字上の)制限があったけれど,今年は制限がなくてわかりやすかった。60人いると,(理論上)同じ誕生日の人が必ずいる。フロアに問いかけて同じ誕生日同士の人がいなかったらどうしようと思っていたけれど,6月に二人いたということは,約半分で見つかったということになる。
山本先生
教師もやってみたら,テーマの考えやすさというのはわかると思う。今回のテーマ設定はいかがでしたか?私は考えやすいと思った。あるいは簡単すぎたのではないかとか。
池田先生
生徒は法律は罰則が必要なのではないかと考えていて,つっこまれたらどうしようと思っていた様子だった。つっこまれることはないので,大丈夫だと言った。でもつっこみはあった方がいいと思う。
奥田先生
1〜4回目まで全部みていますが,テーマの決め方によって,生徒も先生も全部かわってくる。これは非常に大事なことで,私は今回セッションには参加せずに本番だけ見ましたが。テーマはよかったと思う。一番よかった。法律はしばることだと考えがちだけれど,明るい方向で考えられる若い人を育てることができるのではないか。
山本先生
こういうテーマだと考えやすいとか,うまくいったというテーマ設定はありませんか?最近はあまり授業でもプレゼンっぽいことはしないのかな?
林先生
「10年後の○○はこうなっている」という前回のテーマとまったく同じのをやったら結構いけた。その前の年は,クラスの生徒がどこかに引越しで転校してしまうといいう状況設定をして,どういう送別会にすればいいか企画するというのをやった。身近な問題に据えやすそうだった。
小池先生
中学校の先生がいらっしゃいましたが,技術家庭ではどうですか。
西川先生
中1で法律の今回のテーマでやってみた。1時間でなんらかのことを考えて,作業に入りだす。法律の内容は置いといて。お菓子に関する法律とか,お小遣い,校則についてのこと,そういうのがありふれている。面白かったのは,学生専用車両をつくれというものでしたね。
石部先生
2007年があるとしたら,どんな方向でいったらいいのか。その辺も踏まえて,ご意見をいただけたら。もっとHRティーチャーが多彩に入ってくださったり,笹谷先生がおっしゃったようなポスターのこととか,逆にそれで「わーっ」と来たらどうすんねんとか。東京のプレゼンピックは学校単位でやってて,授業で同じテーマでやってるらしい。学年統一で,予選を勝ち抜いてきたのを発表させる。学校間の連絡は特にないと聞いている。東京のやり方であれば,毎年やれるのだけれど,わたしたちが目指す方向としてはどうか。
山本先生
ここはこうしなければ5回目はまずいだろうという観点でこれまでを振り返っていただくというのはどうでしょう。
奥田先生
ずっと見てて,男子の生徒さんが参加していただいたのは非常に大きい。春日丘高校が今回はじめて公立の高校から参加があった。場の設定もリーダーも変わってきている。生徒をだしに先生が勉強している会がこの会だから,それなりのエネルギーもかかる。先生方のご意見で決めるべきだろうと思う。情報だけじゃなくて,英語,国語,技術,いろんな先生が組める。広い意味でのコミュニケーション。
竹内先生(府立成城高校)
松下さんから助成をいただいて,8月に発表にいったわけですが,最後にはこれで教員が変わっていく研修になっているというのが大きいという評価をもらっている。モチベーションが下がっているという気持ちはよくわかる。僕も何か達成してしまった後には気持ちが下がることがある。かといって,自分ひとりでゼロからはじめていたら,効率が悪い。できたら続けていきたいと思うけど,じゃあ誰がリードしていくんだとか。企画をどういう風にしていくかとか,今のまま松下の助成に出しても通すのは難しいと思う。プレゼンを中心におくのはいいんですけれど,もう一歩踏み出せるといいと思う。
辻田さん(日本文教出版)
テーマの設定が法律だったので,具体的な提案だった。東京のプレゼンも見ていて思うのは,聞いてる生徒には何も言いたいことがないのかなぁということ。プレゼンテーションの後に質問が出てくることを想定してプレゼンを作るようなことも考えると雰囲気がかわるのではないかと思った。
山本先生
以前,突っ込んでくださいというのがあった。それはそれで空気が変わると思う。
泰山さん(大学生)
セッションを何回かして思ったのは,演技とか劇形式のチームが多くて,何を評価すればいいのか迷ったところがある。内容にまで踏み込んで評価をするのか,技術にしぼって評価するのか。
山本先生
評価については事前に話があった。個々個人によって,プレゼンに求めているものが違うので,ああいう評価用紙にした。
直川さん(大学生)
今日しか参加できなかった。教員採用試験があったので。去年はエキシビジョンでバウリンガルというのをやりました。去年に比べて生徒もはきはきしていて面白かった。去年と比べて気になったのは,台本をもって喋っているチームが多かったこと。私がいうのもなんですけれど,台本じゃなくて,身振り手振りもつかって相手に伝えることだと思う。今日はそういうのが少なかったのが残念だった。来年やるのであれば,身振り手振りなども意識したものにする必要があると思う。
前尾さん(大学生)
高校生の頃にプレゼンする機会はなかったので,彼らが上手なのでびっくりした。高校生のうちからやるのはすごくいいことだと思った。増えたら大変かもしれないですけど,続けていって欲しい。セッションでは2回目にホームルームティーチャーをやらせてもらった。どういうサポートをすればいいのか迷うところもあって,打ち合わせ不足なところもあった。反省しています。
矢追さん(大学生)
今回,自分なりに評価基準を考えてみた。それに沿って評価した。大学のプロジェクトで大阪の府立に高校に入っていて,授業の中でプレゼンもよくある。評価基準はそのときにみんなで考えるんだけれど,これでいいというのがないのも現実。先生方の評価基準もまた見せていただきたい。とても勉強になりました。ありがとうございました。
山本先生
評価のことは,メールでも投げかけさせていただきました。訴求力とかデザイン性とか,国語の教師としてあれを見ると,機能していないように感じる。ああいう縦割りの基準だてで,プレゼンを評価できるんだろうかと思う。そういう迷いもあって,フロアの方々に配った用紙は文章での評価にした。
米田先生(羽衣学園高校)
評価は生徒さんに一枚見せた。5つくらいの観点。優勝は決めなくてもいいんじゃないかと思っているところもある。プレゼン甲子園は通過点。今日の場合は,池田先生のところのエキシビジョンとか,OGの方のお話とか,ああいうのを生徒さんに持って帰ってもらいたい。それを学校にもってかえってどう料理するかはそれぞれの先生方の腕ではないでしょうか。
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