平成19年度 総会のレポート

テーマ

「大学入試にみる情報活用能力の問われ方と対策」
月 日 平成19年5月27日(日)
時 間 受付 12:30〜    開会 13:00  終了 17:00
会 場 プール学院中高等学校 
プログラム

  
今年の総会の会場は、新校舎を建築されたプール学院中高等学校の新しいチャペルをお借りして開催いたしました。
 
 
【ミニセミナー】
13:00〜13:50
■ 富士通リース株式会社 「リース有効活用のご案内」
・リースの形態の紹介
・リース取引の流れ
・リース料の内容
・リース利用のメリット
(資金の有効活用・資産管理が容易・廃棄処理が不必要)
・リースの活用例


「質問」
・ 高校ではリースは少ない?
 →パソコン教室等でリースを利用するほうが一般的
・ 私学では?
 →私学の方は少ない。しかし、最近増えてきている。機械のサイクルがどんどん縮まっているので、リースが多くなってきている。

■ 内田洋行株式会社 「普通教室におけるプロジェクタ活用例」
プロジェクタ3機種について、実際使用されている学校の担当者からの報告を聞いていただきます。
プロジェクタ選びのポイント(清教学園、小林先生)

「スクリーンと黒板で同時に映す授業を実践している本校の教員もいますが、これからプロジェクタ選びのポイントについてお話しします。」
これらの3機種についての特長について説明。

黒板に写すときに必要なポイントは

1. セッティングがすばやくできる。
 ポイント…焦点距離の短さ

焦点距離が近いと、生徒の机間に置かないで、教卓に載せられる。
 

2. 青色・赤色の再現性
 ポイント…黒板、壁紙補正機能がついている
スクリーンを用意しなくても黒板を利用すると、
映し出された絵や文字にチョークで書き込みができる。

3. 熱
 ポイント…クールダウンの早さ
授業終了と同時に片付けができる。

4. 光源の眩しさ(書き入れる際にまぶしい)
 ポイント…焦点距離が短い方がよい

総会議事
14:10〜14:40

総合司会

  川崎初治先生(飛翔館高等学校)

研究会会長挨拶

  奥田三郎先生(大阪国際大和田中学校・高等学校長)

議長選出

  津田郁夫先生(大阪薫英女学院中・高等学校)

平成18年度活動報告
平成19年度事業案

  米田謙三先生(羽衣学園中学校・高等学校)

平成18年度会計報告
平成19年度予算案

  松本宗久先生(大阪学院大学高等学校)

 
平成18年度会計監査報告

  小池崇司先生(プール学院高等学校)

議案はすべて承認されました。
【講演】
15:00〜16:30

テーマ 「大学入試にみる情報活用能力の問われ方と対策」

      聖心女子大学  教授 永野和男 先生

 
・ 情報通信技術を生かす教育→テクノロジーの発展にあわせて、教育を変えていく
・ 教育や学習に生かす情報通信技術→いまあるものを発展させるためにどのような技術が必要か

・ ICT時代に必要な学力、人材の育成→この時代を生きるためにどのような力が必要で、どんな人材を育てる必要があるか。 <上の2つとは区別をする必要がある>


 
・ 技術者教育ではなく、人間教育としての情報教育
・ 人間の情報処理能力。ひとりが一生に記憶、認知する情報量がパソコンに入ってしまう。
  →「かしこい」ということはどういうことかという問いが生まれる。いろいろな情報を知っているということよりも、情報をいかに整理して、工夫、創造するかという力があるほうがいろいろなことができる。
 
・ これからの社会に身につけておくべき能力
  管理職者へのアンケートの結果、知識があることは要件としてあがっていない。調査、コミュニケーション、企画、対応、説明など問題に対処していく力が上がっている。

・ 情報化時代の学力
  論理的な思考・科学的な思考、問題解決能力、情報活用技術、コミュニケーション能力、共同・強調作業へ参画する態度
  →この中で、どこが既存の科目でカバーされているのか。カバーされていない部分を補完するならどのような科目を新設しなくてはいけないのか。
…この中で生まれたのが『総合的な学習の時間』

・外国においては、低学年で評価を除いてプロジェクト型学習を実施している。
 日本では学習につながっているものは少ない。
  →既存の教科の内容を統合して、現実的な問題につなげていない。「遊び」的になってしまっている。

・ 情報教育のねらい
さまざまな背景から情報教育のねらいを設定した。
情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度
情報Aを基礎として、情報B(物事を数理的に考え、問題解決する力)<理系方面>、情報C(人間社会・文化の中で問題をとらえ、具体的に改善する力)<文系方面>

  共通する部分は問題解決能力、見方が違うだけ。
→具体的に問題を解決する力。実践力。
・ 新しい学力をどのように評価するか
学力とは?→今までは4つ(知識・理解、技能・技術、思考力・構成力、態度)に整理
教科の中で学習内容を規定していた。
知識・理解は図りやすいために中心的に評価される。
→実技をともなう教科での弊害。(重要な側面が削られて、評価されている)
→そのために主要教科から外されていく。知識・理解で評価できるもののみが主要教科として認められている。

・ 入試における教科「情報」
教科「情報」を入試科目に取り入れる大学が国立、私立合わせて14大学
東大、京大など8大学がワーキンググループを作って検討している。
→ペーパーテスト形式。対策などが立てられると、ほとんど経験していないのに知識だけで解けてしまう。
それをふせぐためには、情報の本当の能力を測る方法を模索しなくてはいけない。それはペーパーテストでは出来ないのではないか

   

・ 情報機器活用の評価の観点
1.情報機器を使えるのは当たり前。
 問題場面で的確に選び、使えるか?という観点で評価
2.具体的な課題解決場面で評価
 効率を見たいのなら、時間制限など。
→コンピュータの上で実際に考えて、問題を解くことで評価をする
  (具体的に教えたことが出来ないと、解けない評価の方法を考えるべき)
 対策をたてられても、望んでいる能力がつくなら問題はない

・ 文系からみた情報活用能力
 情報を見抜く目、情報を処理する知恵

・ 情報活用能力を評価する入試
 聖心女子大学 一般入試(プレゼン方式)
 情報を読み取る力、判断力、表現力、応答力を重視。
 情報を検索し、編集、プレゼン、質疑応答
ある意見を選択し、それを支持する資料などを集め、その情報に基づいて自分の考えを論理的に整理し、プレゼンを行う。

<問題作成のポイント>
・どちらかに軍配が上がらない問題にする。…いろいろな視点から判断すべき問題
   ・Webページに答えが載っていない
   ・表現をあいまいにする。自分で判断基準を作れるようにする

<評価基準>
・プレゼンの構成
・データの収集と表現
・応用力
 →プレゼンのためにはさまざまな能力が必要。明らかに実力が見える。

これらの能力は情報Cで身につけてほしい能力
 

   

【質疑応答】

Q: 入試で、家族に質問してもいいという話があったが、他の人が考える可能性があると思うが、どこまでを許容範囲として考えているのか?
→質疑応答の際に連絡はなしということにすれば、情報元がWebであろうが、家族であろうが変わりがないと考えている。

Q: 情報活用能力として必要な能力は、既存の科目で教えるべき内容であるかと思うが、それを情報のみで考えるべきなのか、既存の科目も含めて考えるべきなのか
→必要な能力を整理した結果、既存の科目に埋め込められる内容とそうでない内容を比較した結果、教科「情報」が必要であるという結論に達した。例えば、情報モラルなどの基礎的な部分などは教科「情報」のみで扱うべき内容ではないと考えている。

Q: 総合の授業で生徒につけさせたい力は、新しいものに対応していく力だと思うが、先の見えないものに対応していく力を生徒につけさせるためには教員はどのような勉強をするべきか?
→情報の専門家として大事なことはシステム的に物事をとらえる力と、先を見通す力。この力を持っている先生に話を聞いたり、数学的な考えの話を聞いたりすること。世の中には答えがなくて、常に考えるということに価値があるということをメッセージとして伝える必要がある。

Q: 総合的な学習の時間が先生自身はうまくいきかけていると考えているという話だったが、その理由は?
→情報活用実践力を育成するという観点では、情報Cの内容に似たものをやっているところもある。うまくいっていないところではまったく違ったやり方をやっている。うまくいっているとこはすごくうまくいっている、だめなとこは全然だめなので、全体をだめとは言えない。

Q: 生徒が自ら学んだことを次につなげる、自ら学ぶという行動の根底にあるのは知的好奇心、モチベーションかと思うがそれをどのように工夫すればいいか。
→体験が理論につながっているときに、知的おもしろさが刺激される。それがつながっているという見通しが先生になくてはいけない。

Q: 受験の際、優秀な生徒はどのようなことから始めるのか
→どうしろ。という指示は書いてないが、ざっと調べて、切り貼りをしてコピペし始める。時間的には2時間半で足りている。

Q: 課題解決型学習において、時間等の関係上、内容まで評価することが難しくスキル面での評価になってしまいがちになると思うがどのような工夫が必要か。
→ティームを組んで、情報の教員だけでは内容がわからない部分はティーム内の別の教員にまかせるという方法などがある。

   


【プール学院、教頭先生挨拶】

  

 
■閉会の挨拶     飯田先生:(四條畷学園中学校・高等学校)
 


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